中小企業の資金繰りを支える国の主要基金が管理費で食い潰されている。
中小企業の返済猶予(リスケ)を求める計画の策定事業で173億円の支出のうち、補助金105億に対して管理費が67億と4割も上がっていた。利用の少ない制度に対して、窓口が多く人件費がかかり過ぎている。
基金設置は2012年度、リーマン危機後に返済条件軽減の法律の期限が切れる代替策として、中小企業庁が中小企業基盤整備機構(独立行政法人)に405億円積み立てた。
同機構から経営改善支援センター(窓口は全国47カ所、150人以上駐在)へ委託、中小企業より相談があった場合は同センターから税理士などの専門家を紹介し、リスケを望む中小企業の再建計画をサポートする。その費用を3分の2支給するスキーム。
同センターには金融知識があるとされる地銀OBが多く雇われるが、主な業務は制度説明や書類審査で計画作りには関与しない。
一方、本来リスケ計画は経営者と金融機関が協議して進める。国の補助があっても、費用を払って第三者に頼る不振企業は少ない。2014年度までに見込んだ件数2万件に対して、実際申請は7500件。
例えば、那覇市の商工会議所に置かれた窓口は2019年度に91件の新規申請に対して、職員3人常駐し、補助実績は1億4000万円、人件費は1億4千400万円と人件費が上回っている。
「潤うのは税理士や中小企業診断士、地銀OBだ」と指摘される。専門家が不振企業に補助金活用を勧め、リスケ計画策定の報酬を得る。申請窓口は地銀OBにとって実入りのいい受け皿になっている構図。
所見
リスケ計画を助ける制度は必要かもしれないが、結果的に利用率も低く垂れ流しになっているのであれば、即刻止めるべき。
経営者なら第三者に頼らずともリスケ計画くらい作れる。
国費(税金)67億を捨てたのと同じ、こういった無駄を無くしていけば税金は足りる。メディアはもっと騒いでほしい。
(銀行OBの受け皿になる機関なら潰さないでほしい、と心のどこかで願ってしまうが)