S&P500ESG指数からテスラ除外
米S&Pダウ・ジョーンズ・インディシーズがESG(環境・社会・企業統治)スコアの高い300社超の米企業で構成する株価指数「S&P500 ESG指数」から電気自動車(EV)大手の米テスラを除外したことが明らかになった。
人種差別被害、事故調査対応が問題視
従業員による人種差別被害の訴えや、米当局の事故調査への対応などを問題視した。
同社のイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は「ESGはとんでもない詐欺だ」と猛反発している。
S&Pダウ・ジョーンズ・インディシーズは毎年この時期にESG指数の構成銘柄を入れ替えている。
シニア・ディレクターのマーガレット・ドーン氏は17日付のブログ投稿でESG指数の評価方法について「サステナビリティー(持続可能性)を重視する投資家の変化する意見に対応することが重要だ」と述べた。
同氏はテスラを除外した具体的な要因として、米西部カリフォルニア州のEV工場における人種差別や劣悪な労働環境に対するクレームや、テスラ車が運転支援システムの作動中に起こした死傷事故を調査する米運輸省高速道路交通安全局(NHTSA)への対応を挙げた。
こうした事案がリスクと判断され、ESGスコアにマイナスの影響を及ぼしたと説明した。
マスクCEOは猛反発
マスク氏は18日、ツイッターに「テスラはどんな企業よりも環境のために多くのことを行っているにもかかわらず!」と投稿し、ESG指数の構成銘柄からの除外に驚きを示した。
同社と入れ替わりに石油・ガス会社5社が追加されたとのツイートに「正気でない」と返信し、「ESGはインチキ社会正義の戦士によって武器にされている」と批判した。
テスラは工場内における組織的な人種差別があった疑いで、カリフォルニア州の人権保護機関である公正雇用住宅局(DFEH)から2月に訴えを起こされた。
テスラは事実に基づかないとして争う構えを示している。NHTSAは2018年以降に運転支援システムの作動中に複数の衝突事故が報告されたとして、21年にテスラの正式な調査に乗り出している。
ESGスコアは評価者によってバラツキ
ESGスコアは投資家が企業のESG活動の良しあしを判断する材料の一つとなる一方で、重視する項目や判断の根拠となる情報源の違いによって評価機関ごとのばらつきが大きい。
注目企業であるテスラの有力株価指数からの除外は、ESGスコアの算定のあり方をめぐる議論にも一石を投じる可能性がある。
所見
ESG(環境・社会・企業統治)は範囲が広い。
かつ、明確な統一基準も無いため、評価者の主観になってしまう。
E(環境)とS(社会)とG(企業統治)は分けて分類すれば、投資サイドとしては分かりやすいかもしれない。