ステマが規制されれば、ブロガーやユーチューバーなど、アフィリエイトで稼ぐ人達に大きな影響がある。
規制だらけになると、経済活動が萎んでしまう。
日本はイノベーションが無いのに、規制ばかり増え経済が弱くなる。
ネット上のステマを問題視
ネット上で、広告だと明らかにしないまま口コミなどを装って宣伝する「ステルスマーケティング(ステマ)」が広がり、問題視されている。
現行法では法規制の対象外だったが、消費者庁は実態の把握や、景品表示法の適用拡大などを含めた検討に入った。
規制は企業側の反発も招きかねないため、ネット広告の影響力が大きくなるなか、次々に生まれる新たな広告手法に、消費者保護とのバランスが求められる。
『PRと示さないほうが売れる』
「広告代理店から『PRと表記しないほうが商品が売れます』とステマを誘われることもある」。
東京都の30代、山田恵さん(仮名)は明かす。
山田さんは写真共有サイトのインスタグラムで、化粧品やスマートフォンのアプリなどを紹介。
自分の投稿を通じて商品が売れれば企業側から報酬を得る「アフィリエイター」として活動する。
月に数十万円を手にすることもあるが、企業や代理店から依頼を受けた商品の場合は「PR」と示すようにしている。
ただ「正直、PRと明記すると反響は悪くなる。他の人の投稿で『ステマだ』と感じるものも多い」と話す。
現行法ではステマは違法では無い
ステマとは金銭など対価を受け取りながら、公平な口コミや専門家の意見などを装って宣伝する行為などを指す。企業が第三者になりすまして自社商品の口コミを書くパターンもあり、度々問題視されてきた。
例えば2022年1月には動画共有アプリ「TikTok」運営の日本法人がインフルエンサーに報酬を支払い、特定の動画を一般投稿のように紹介させていたことが発覚した。
ただ現行法ではステマ自体は禁じられていない。
景品表示法が不当表示として禁じるのは主に、
①商品やサービスが実際よりも優れていると宣伝する「優良誤認表示」、
②取引条件が消費者に有利だと偽る「有利誤認表示」、
③内閣総理大臣が指定する「誤認されるおそれのある表示」の3つ。
広告であることを隠すだけでは違法にならない。
SNS(交流サイト)でのマーケティングに詳しいリデル(東京・港)の福田晃一社長は「問題になるのは氷山の一角だ」と指摘する。
多くのステマは野放し状態という。
消費者庁が検討会
ステマ広告が横行すると純粋な口コミと信じた一般の消費者に悪影響を及ぼす恐れがある。
ここにきて消費者庁は、ステマ規制に向けて動き始めた。
同庁は6月29日、景表法の指針を改定。
サイトを通じた購入などによってサイト運営者に報酬が支払われる仕組みの「アフィリエイト広告」において、広告であることを示すのが望ましいと明記した。
ステマ全般に対する規制を議論
さらに3月には、有識者らによる「景品表示法検討会」も立ち上げた。
消費者の利益保護のための広告表示のあり方などを検討するが、座長の中川丈久神戸大教授は「ステマ全般に対する規制は最重要課題の1つ」と話す。
6月23日に実施された論点整理では、今後同検討会とは別にIT(情報技術)の専門家などを招集し、ステマの実態や消費者への影響を調査、具体的な規制の方向性に関して議論する方針を示した。
ネット広告の影響力は年々高まっている。
「インフルエンサーや口コミを使ったマーケティングは購買につながりやすく、様々な企業が行っている」(WOMマーケティング協議会の細川一成理事)のが現状だ。
急増する苦情
広告主の負担が増す規制強化には経済界の反発も予想される。
ある専門家は「欧米のように不公正な取引全般を規制することは難しく、ステマの代表的な事例を挙げて規制対象にしていくという手法をとるのではないか」とみる。
法規制の議論がようやく動き出したが、問題のあるネット広告は増加する一方だ。
日本広告審査機構(JARO)に寄せられたネット広告への苦情は20年度に5531件と前年度から37%増えた。
関東学院大学の天野恵美子准教授は「(口コミやインフルエンサーマーケティングの)子どもや若者へ与える影響は重大で、その中に誤った情報があれば大きな被害につながる。
広告主が情報を適切に管理すべき」と話す。
新たな広告手法が次々生まれる中で、消費者の利益を守るために規制も変化していくことが求められている。