米ツイッターを買収した米起業家のイーロン・マスク氏は1日、規則違反で同社のSNS(交流サイト)から永久追放したトランプ前米大統領のアカウント復活を今後数週間は判断しない考えを示した。
8日投開票の米中間選挙を控え、いずれの結論になっても反発が避けられない議論を先送りした格好だ。
マスク氏は1日夜のツイートで「ツイッターのルールに違反してプラットフォームから除外された人物を、明確なプロセスができるまで戻すことは許可しない」と表明した。
停止中のアカウントの扱いを議論する環境が整うには「少なくともあと数週間はかかるだろう」と述べた。
ツイッターは2021年1月に起きた米連邦議会議事堂襲撃事件の際のトランプ氏のツイートを精査し、さらなる暴力行為を扇動する危険性があると判断して永久追放した。
米共和党の一部で同氏のアカウント復活を望む声がある一方、米民主党を中心とする左派は反対している。
マスク氏は英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)が22年5月に開いたイベントに登壇した際には、トランプ氏を永久追放した当時のツイッター経営陣の判断について「正しくなかったと思う」と述べ、買収後に同氏のアカウントを復活させる考えを示唆していた。
マスク氏はツイッターの買収が完了した10月下旬に同社のコンテンツモデレーション(不適切な投稿の監視・削除)を監督する評議会を設置すると表明した。
11月1日付の投稿では評議会のメンバーには公民権団体やヘイトスピーチ対策に取り組むグループの代表者らが「確実に含まれる」と述べた。
マスク氏は1日に全米黒人地位向上協会(NAACP)など複数の米市民団体の幹部らと会い、ツイッターの投稿管理のあり方などを話し合ったことも明らかにした。
会談に参加した米市民団体フリープレスの幹部は2日付の声明でマスク氏との議論について「建設的だった」と振り返った。