米起業家のイーロン・マスク氏が買収した米ツイッターで17日、新たに1200人の正社員が退職したとの見方が浮上した。
米ニューヨーク・タイムズ(電子版)が18日に伝えた。
多くは同氏が求めた長時間の猛烈な労働を拒否したとみられ、サービスの安定稼働が維持できなくなるとの懸念が出ている。
マスク氏は10月27日に総額440億ドル(約6兆2000億円)でツイッターを買収する手続きを完了させ、直後に社員を半減する人員削減を実施していた。
同社の2021年12月末時点の正社員は約7500人だった。
さらに11月16日に社員に電子メールを送り、長時間の猛烈な労働を受け入れるか、退社するかの選択を求めていた。
マスク氏は17日午後5時(米東部時間)を回答期限に設定し、直後から「#OneTeam」などと記し、社員証やパソコンなどの写真を添えた退社を決めた社員のものとみられる投稿がツイッターで増加した。
複数の米メディアは数百人が退社したと伝え、ニューヨーク・タイムズは3人の関係者の話として「少なくとも推定1200人が17日に退社した」と報じた。
過去10年のうち8年にわたって最終赤字を計上したツイッターは人員の過剰感が以前から指摘されており、マスク氏は人員削減による収支改善を急いでいた。
ただ、短期間に大幅な削減に踏み切ったことに加えて、マスク氏の「踏み絵」を拒否した社員が想定を上回り、サービスの安定稼働やサイバーセキュリティー対策が手薄になるとの見方が浮上している。
同社の上級エンジニアのひとりは17日、自らの所属部門について「16日に残っていた社員の80%が退社を決め、75人が3人になった」とツイッターで述べた。
ツイッターは大規模イベントの際などに利用が急増してサービスが不安定になりがちだった経緯があり、サッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会が20日に開幕することが懸念材料になっている。
17日には今後を不安視する投稿がツイッターに増え、マスク氏はある利用者の問いかけに「優秀な人材は残っており、それほど心配はしていない」と応じた。
一方、18日は大人数の退職に伴う混乱を避けるためにオフィスを一時閉鎖したものの、技術関連の問い合わせに社内で回答するようにマスク氏が求めたとの情報もあり、混乱ぶりが浮かび上がっている。