米ツイッターを買収した起業家のイーロン・マスク氏が同社のSNS(交流サイト)上で実施していた自らの進退に関するアンケートの結果が19日、まとまった。
ツイッターの「トップを退くべき」との回答が全体の過半数となった。
マスク氏は投票結果に従う意向を示しており、退任すればガバナンス(企業統治)の不透明さが増すことになる。
マスク氏は「ツイッターのトップから退くべきか? 投票結果に従う」と投稿し、「はい」か「いいえ」の二択で回答するよう促すアンケートを実施した。
締め切り時間の米西部時間19日午前3時すぎまでに1700万件を超える回答があり「はい」と答えたのが全体の57.5%、「いいえ」は42.5%だった。
大企業のトップが自らの進退をSNSの利用者らの投票によって決めるのは異例だ。
マスク氏がツイッターのほぼすべての株式を保有する状況には変わりなく、同氏が最高経営責任者(CEO)を退任することになれば経営の混乱に拍車がかかる可能性もある。
マスク氏は2021年の米連邦議会議事堂襲撃事件を機に永久凍結したトランプ前米大統領のアカウント復活を判断するにあたってもツイッター上でアンケートを実施していた。
マスク氏はアンケートによる多数決が「万能」であるかのように語るが、米メディアではSNS上の偏った意見が反映されるなどの課題が指摘されている。
マスク氏は10月27日に総額440億ドル(約6兆円)でツイッターの買収取引を完了し、同社のCEOに就いた。
人員削減などで大なたを振るう一方、性急な経営判断を繰り返して混乱を招いていた。
先週には他人の位置情報の共有に関連する規約を変更し、米大手メディアを含む一部のジャーナリストらのアカウントを一時凍結した。
マスク氏は「自らの居場所をさらして家族に危険をもたらした」と主張したが、報道の自由を脅かしかねない行為には各国・地域の規制当局からも批判があがっていた。
マスク氏は自らの進退に関するアンケートの実施に先立ち、「今後は大きな指針の変更に際しては投票を実施する」と投稿していた。