三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)は今年の夏に対話型の人工知能(AI)「ChatGPT(チャットGPT)」を導入する。
社内の書類作成や照会対応などで活用する。
年内には日本マイクロソフトと協力して独自のAIを開発する計画だ。
三井住友FGとみずほFGも対話型AIの導入に動いており、3メガバンクが足並みをそろえる。
チャットGPTは人の指示にしたがい文章を自動生成する「生成AI」の一種だ。
巧みに回答する高度な対話能力を備えており、利用者は1億人を超えたとされる。
三菱UFJでは稟議(りんぎ)書の作成や社内からの照会対応などで対話型AIを利用していく方針だ。
煩雑な業務の一部を対話型AIに肩代わりさせることで、生産性の向上に効果があるとみている。
情報漏洩対策として、社員の入力した文章がAIの学習に利用されないようにし、外部からも閲覧できないようにする。
社内で幅広く使用してもらったうえで、三菱UFJの業務に適した独自のAIの開発につなげる。
将来的には、インターネットなどを経由して問い合わせてくる顧客への対応などに使えないか検討を進める。
三井住友FGは11日に日本マイクロソフトと独自開発した対話型AIを行内業務に活用する実験を始めたと発表した。
秋ごろまでにまず三井住友銀行の全行員が使えるようにする。
銀行が保有する情報や公開情報を基に、行員の質問に答える。
事務規定を調べる際に使うほか、取引先の基本情報収集など稟議書の草案作成への活用も想定する。
情報を外部に漏らさないネットワークを使う。
みずほFGもAIを使った対話型ソフトを社内業務に導入する方針だ。
日本マイクロソフトの協力を得て情報が外部に漏れないソフトの独自開発を検討する。
海外では米モルガン・スタンレーも対話型AIの研究に動く。
国内企業の活用はスタートアップが先行してきた。
3メガバンクの動向を受けて他の大企業にも導入を探る動きが広がる可能性がある。