米アマゾン・ドット・コムは3日、今後数カ月にわたって人材採用を凍結すると発表した。
小売事業ではすでに採用活動を止めており、広告やクラウドコンピューティング事業にも拡大する。
金融引き締めに伴う景気後退への警戒が強まるなかで、人件費を抑えるための雇用調整が広がっている。
人材担当のベス・ガレッティ上級副社長が社員に送ったメモを公開した。
新規採用の停止について「今後数カ月は続ける」とし、その後は事業の状況に応じて調整していく方針を示した。
ガレッティ氏は「普通ではないマクロ経済環境に直面しており、経済情勢を踏まえて採用や投資のバランスを取りたい」と説明した。
アマゾンは10月にインターネット通販や店舗運営といった小売事業での採用凍結を決め、段階的に対象を広げてきた。
10月27日に開いた7〜9月期の決算会見でも、ブライアン・オルサブスキー最高財務責任者(CFO)がコスト削減に注力している点を強調していた。
一部の製品やサービスは開発プロジェクトを中断した。
同社は10~12月期の売上高が1400億~1480億ドルの範囲になるとの予想を示している。
前年同期と比べて2~8%のプラスにとどまり、成長の減速が目立ってきている。
採用凍結の対象としない物流施設で働く人も含め、アマゾンの従業員は9月末時点で154万4000人だった。
事業環境の変調に伴い、採用凍結や人員削減を通じてコスト抑制を図る米企業は一段と増えている。
11月3日にはオンライン決済大手のストライプが従業員の14%にあたる1100人規模の人員削減を明らかにしたほか、ライドシェア大手のリフトも従業員の13%を解雇すると公表した。