ブロックチェーン(分散型台帳)技術を使って、金融機関などを仲介しない金融サービスが急拡大し始めた。DeFi(ディーファイ:分散型金融)と呼ぶ仕組みで、暗号資産(仮想通貨)売買や融資など市場規模は約1,000億ドル(11兆円)と1年で5倍に成長した。
※DeFi:Decentralized Finance 分散型金融と表記され、金融機関などを仲介せずに送金や融資の金融サービス。メリットは低コスト、いつでも取引が可能。デメリットは資金洗浄やハッキングの懸念がある。
コスト低く利便性も高いが、資金洗浄のリスクも高い
DeFiは中央集権型でコストのかかる既存の金融秩序に変革を迫るものとなる、一方で資金洗浄(マネーロンダリング)の温床になりかねないと世界中の当局は警戒を強める。
DeFiの柱は銀行を介さない融資。インターネット上の取引の場では仮想通貨チェーンリンクを年利0.1%で借りられる。
日本の住宅ローン(変動金利0.4%程度)よりも低い。
DeFiは無人の取引システムに個人が仮想通貨を預けて、これを借り手が受け取る。
信用力のある金融機関が安全な取引を仲介する従来の金融は利用者が手数料を支払う。
DeFiは低コストで利用者同士を直接つなぐ仕組み。
仮想通貨の上昇を見込んだ投機的な貸し借りが多いが、将来的には相対取引で借り手が事業資金や住宅購入に充てることも想定される。
DeFiの資産総額は11兆円で、日米欧の預金取扱金融機関の現預金額6800兆円の0.1%程度であるが、膨張のスピードが早い。
モノやサービスがデジタルに取引される時代であるが、国家が権力を独占する通貨は取り残されてきた。
20ヵ国の平均送金コストは10%、海外送金には数日かかるケースもある。
一方、DeFiは365日24時間、いつでも即時に取引が成立する。
2008年に通貨システムへの挑戦として仮想通貨ビットコインが登場したが、各国で登録業者での取引が義務付けられるようになった。
理想と現実の差は大きく、DeFiは不正取引が横行する。2021年8月には取引の場を提供するポリ・ネットワークで700億円の仮想通貨が流出した。本人確認がずさんで、麻薬取引などの資金洗浄の温床になっている。
国際組織FATF(金融活動作業部会)などは監視強化に動くものの、管理主体があいまいで規制の網がかけられない。
問題も多い反面、DeFiの台頭は既存の金融秩序に変革を迫ることになる。国際決済銀行(BIS)は主要7中銀とともに相互に接続可能な中央銀行デジタル通貨(CBDC)のあり方を検討する。
所見
暗号資産で最大のデメリットである資金洗浄・ハッキングの犯罪を取り締まることができれば、各国の通貨と金融機関はいらなくなる。
まだ時間はかかると思うが、遠い未来ではない。金融機関は従来の金融サービスは無くなるものとして、新たな付加価値を生み出さなくては、消えてしまう。
[…] 日本はDefiでも遅れをとっている。こちらの記事を参照。 […]