日本のCBDCは、まだ概念の議論の途中。
できた頃にはデジタル元、デジタルドルに相当遅れ、価値が無い状況になっているだろう。
『デジタル通貨係』7人体制に
財務省理財局の国庫課で、7月から「デジタル通貨係」が7人体制で始動した。
中央銀行デジタル通貨(CBDC)の導入に向けて法制面の準備・検討を担当する係で、これまで担当していた2人から5人増員した。
CBDCは日本銀行や財務省、金融庁を中心に導入の検討を進めているが、整理すべき論点が多く、明確なゴールは見えていない。
「理財局としてはCBDCの法的な課題について関係者と議論を重ねていく」。
日銀が4月に開いた連絡協議会で、財務省の彦谷直克官房審議官(当時)はこう述べた。
CBDCを巡り、日銀は「現時点で発行する計画はない」としつつ、2021年から決済システムなどの実証実験を進めている。
発行主体は日銀だが、法改正は財務省が担う。
22年度中に検討
政府が21年にまとめた経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)は、
CBDCについて「政府・日銀は、22 年度中までに行う概念実証の結果を踏まえ、制度設計の大枠を整理し、パイロット実験や発行の実現可能性・法制面の検討を進める」と盛り込んだ。
これを受け、国庫課では全体の定員を2人増やしたほか、課員の配置換えなどでデジタル通貨係を5人増員した。
人員削減が進んだ霞が関で定員を1人でも増やすのは至難の業だ。それだけ財務省の本気度がうかがえる。
CBDCの論点は多い
ただ、論点は多い。そもそもCBDCを法律によって、受け取りを拒否できない強制通用力を持つ法定通貨とすべきか。
匿名性の高い現金と違い、CBDCは誰が何に支払ったかを把握でき、プライバシーの侵害とならないか。
支払いを巡るトラブルやハッキングによる犯罪は民法や刑法にも関わり、「改正するなら膨大な関連法案になる。
法案作りに最低数年はかかるだろう」との声が上がる。
デジタル通貨係は今後、実務家や法学者との意見交換を重ねながら法制面の論点を洗い出す。
4月の会議では関係者から「現金や民間のデジタル決済手段も十分あるなか、CBDC導入の意義は何か」「保有額や決済額に上限を設けるのか」といった質問も相次いだ。
論点整理のゴールはまだ遠そうだ。