ウクライナ国境から約7キロのポーランド東部プシェボドフに15日着弾したロシア製ミサイルについて、複数の米当局者は、初期段階の分析として、ロシアのミサイルを迎撃するためにウクライナ軍が発射したミサイルが着弾したとみられるとの見方を示した。
AP通信が16日報じた
DPA通信によると、バイデン米大統領も16日の先進7カ国(G7)と北大西洋条約機構(NATO)の緊急首脳会合で、ウクライナから飛来した対空ミサイルだった兆候があると説明。
バイデン氏は記者団に「ロシアから発射された可能性は低い」と述べた。
ポーランド政府などは着弾の実態調査を本格化させる。
ミサイルは現地時間15日午後3時40分(日本時間同11時40分)ごろに着弾。
民間人2人が死亡した。
同日はウクライナの首都キーウ(キエフ)を含む全土でロシア軍による主にエネルギー施設を狙った約90発のミサイル攻撃があり、プシェボドフから南に約70キロの西部リビウにも攻撃があった。
ウクライナ空軍は約90発のうち73発を迎撃したと明らかにした。
2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻後に、NATO加盟国で紛争に関連して死者が出たのは初めて。
ロシアによるNATO加盟国ポーランドへの直接攻撃であれば、加盟国への攻撃を全加盟国への攻撃と見なし、武力行使を含む必要な措置を取るとのNATO条約5条の規定があり、緊張が一気に高まる恐れがあった。
ポーランドメディアなどによると、同国のドゥダ大統領は、ブリュッセルのNATO本部で16日に開かれる会議で、ポーランド側がNATO条約4条に基づく協議を要請する可能性が高いと述べた。
4条は加盟国の領土保全や安全が脅かされている場合、いつでも協議すると定めており、モラウィエツキ首相も「4条の適用の可能性について、同盟国と検討している」としていた。