Googleはアジアを有望視しているが、円安で投資がしやすいことも要因であろう。
Google、日本へ1,000億円投資
米グーグルのスンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)は7日、日本で2024年までに1000億円を投資する計画を明らかにした。
同社では日本で初めてとなるデータセンターの建設などに充てる。
景気の減速感が強まるなか業務の効率化を加速する一方、日本を含むアジア・太平洋地域への投資を優先することにより成長を取り込む姿勢を鮮明にする。
来日したピチャイ氏が都内で日本経済新聞とテレビ東京の単独取材に応じ、日本やアジアにおける事業方針を明らかにした。
ピチャイ氏は「昨年から24年までの4年間で1000億円を投資し、一部をデータセンターに充てる」と説明し、海底ケーブルや人材育成への投資も増やす考えを示した。
グーグルは千葉県内で国内初となるデータセンターの建設を進め、23年に稼働させる。
消費者向けのインターネットサービスの利便性を高めるほか、ピチャイ氏は「当社のクラウドコンピューティング事業を通じて日本企業のデジタル変革を支援したい」と述べた。
7日に首相官邸で岸田文雄首相と会い、投資計画を説明した。
Google、今後10年間はアジア市場が重要
アジアについては多様な機能をまとめたスーパーアプリやショート動画などの技術革新が生まれて世界に影響を与えていると指摘し、「当社の今後10年間の成長の多くはアジア市場がもたらす」と述べた。
「アジアを長期的に有望視しており、同地域向けの投資の優先度は高い」とも明言した。
新型コロナウイルスの感染が広がったことを背景にグーグルのサービスの需要が拡大し、同社の親会社である米アルファベットの業績拡大が加速した。
ただ、足元ではインフレなどが経営の重荷となり、22年4~6月期まで2四半期連続で減益となっている。
7月には採用を一時凍結したのに続き、年末までペースを落とすことを決めた。
ピチャイ氏は「当社の収益の中心を占める広告事業はマクロ経済の影響を受ける傾向が強く、現在の不安定さに対応している」と説明した。
23年については「採用を続ける一方、22年に比べてさらにペースが穏やかになる」と述べた。
製品開発や技術分野での採用は続けるものの、その他の分野で絞り込む見通しだ。
事業ではクラウド技術を活用したゲーム配信サービス「スタディア」からの撤退を決めたほか、先端開発部門「エリア120」の縮小を決めている。
機器開発・販売では6日に新型スマートフォンなどを発表する一方、ピチャイ氏は「(ノートパソコンの)ピクセルブックでは提携先から良い製品が出ており、(自社開発の)計画を見直した」と説明した。
投資分野の選別を進めるなか、すべての事業の基盤と位置付ける人工知能(AI)への投資は継続する。
主力のインターネット検索サービスや動画共有サービス「ユーチューブ」を引き続き注力分野とするほか、こうしたサービスを利用者に届けるために必要な基本ソフト(OS)の「アンドロイド」やクラウドなどへの投資を優先するとしている。