新型コロナウイルスに感染する確率と、飲み会やイベントなどへの参加頻度にはどのような関係があるのか。
日本経済新聞などが約3万人のデータをもとに分析したところ、飲み会にほとんど参加しない人の感染確率が6.3%だったのに対し、「週1~2回以下」とほどほどに飲みに行く人の確率は8.4%で、差は約2ポイントだった。
分析は一橋大の高久玲音准教授(医療経済学)、日本経済研究センターなどと日経が共同で実施した。
高久氏は「自粛した人とほどほどの行動をとった人の差は少ないことがわかった。
年末年始も良識的な行動であればリスクは上がりにくい」と解説する。
大阪国際がんセンターの田淵貴大氏らがモニター調査で約3万人から得たデータを利用した。
モニター調査では感染第7波がピークを越えた今年9~10月に感染やイベントへの参加頻度について答えてもらった。
「直近2カ月間でコロナに感染した」と回答した人の割合は全体の7.6%だった。
各イベントへの参加頻度による違いを調べるため、家族構成や職業、居住地の人口規模のほか手洗いやマスク着用といった予防行動の有無などを調整し、行動パターン別の感染確率を算出した。
飲み会の頻度でみると、「2カ月間に同居家族以外の人との飲酒を伴う会食が月1回未満」と答えた人が2カ月間でコロナに感染する確率は6.3%だった。
こうした「自粛型」に対し、「週1~2回以下」と回数を抑えながらほどほどに参加する人の感染確率は8.4%で、自粛型との差は2.1ポイントにとどまった。
「週3回以上」と高頻度の人は12.8%と自粛型の約2倍だった。
スポーツ観戦や音楽ライブの場合、行っていない人の感染確率がそれぞれ6.4%、6.5%なのに対し、週1回以上行った人の感染確率はそれぞれ11.5%、11.1%に上がった。
「親族宅を訪問」ではゼロ回の場合の感染確率が6.2%なのに対し、中頻度の「月数回まで」は7.4%、高頻度の「週1回以上」は6.7%だった。
不特定多数が集まる場へ頻繁に出かけるとリスクが上昇する一方、感染対策をとりやすい身内や知り合い同士の場合は比較的、リスクとの関係が小さいようだ。
分析に加わった大阪大の大竹文雄・特任教授(行動経済学)は「感染力が高いオミクロン株は活動を控えた人でも一定の感染確率があり、完全な予防は難しい。
感染しても重症化率がかなり低いことを考えると、行動の制限を正当化するのは難しいのではないか」と話す。
足元の第8波は1日あたりの新規感染者数が全国で20万人を超える日もあり、第7波のピークだった8月に近づきつつある。
一方、ワクチン接種が広がったこともあり重症患者数はピークだった昨年夏の4分の1ほどの水準にとどまる。
東邦大学の舘田一博教授(感染症学)は「現在は感染拡大防止と並行して社会経済活動をコロナ前の状態に戻していく段階にある。
個々人が自分で感染リスクを下げながら行動することが求められる」と指摘する。