令和国民会議(令和臨調)は30日、政府・日銀の共同声明に関する提言を発表した。
日銀の金融政策を柔軟化するため、異次元緩和の象徴となっている2%の物価目標を長期的な目標に据えることを提案した。
政府内の一部では共同声明の見直し論が浮上している。
令和臨調の政策提言をきっかけに、見直しの議論がさらに活発になる可能性もありそうだ。
令和臨調は2022年6月に発足した。企業経営者や学識者が集まって政策提言をする団体で、佐々木毅・元東大学長や増田寛也・日本郵政社長などが参加する。今回の提言は財政・社会保障部会の翁百合・日本総合研究所理事長、平野信行・三菱UFJ銀行特別顧問らがとりまとめた。
提言では政府・日銀の過去10年の政策効果を検証した上、新たな共同声明を結ぶよう求めた。
政府と日銀の対応が長引く異次元緩和やばらまき的な財政支出、遅れる労働市場改革などを招いたとし、両者の関係の再構築による状況の改善を目指す。
賃金上昇が続く持続的な経済成長を共通目標に、政府・日銀が一体となって改革を進めることを提案した。
新しい共同声明の骨子案には、①政府・日銀の共通目標に賃金上昇も明記②政府は潜在成長率を高め持続可能な財政構造を確立する③日銀は物価2%目標を長期的に目指す④政府・日銀の連携を定期的に検証・開示する――の4点を盛り込んだ。
日銀の金融政策の柔軟化を図るほか、政府のこれまでの取り組みを評価し、成長力の向上や財政規律の維持といった責務を明確にする狙いだ。
政府・日銀の共同声明は2013年1月、第2次安倍晋三内閣が白川方明日銀総裁(当時)と取り交わしたもので作成から10年がたつ。
異次元緩和の根拠となっているが、政府内の一部には見直し論も浮上している。