太郎
おはようございます❗️
あと15年でFIREを目指す、企業戦士のメガバンク太郎と申します😊
国が地方に配る財源が不足し、穴埋めで自治体に肩代わりさせた借金が53兆円に膨らんでいる。
国が後払いする返済原資を自治体側で「流用」している疑いもある。2001年度に3年限定で始まった臨時措置は延長を繰り返し20年たった。
将来にツケを回す体質
財政面で独り立ちできぬ地方と先送り体質が根深い国の間で責任が曖昧となり、将来にツケを回している。
臨時財政対策債(臨財債)
問題の借金は臨時財政対策債(臨財債)。
自治体間に生じる税収の不均衡を補うため国が配る地方交付税交付金の一部を自治体にいったん借金させる。
親子に例えれば、国が「仕送り」できずに子に借金させている形だ。子がいつまでも親に頼っている結果ともいえる。
元利償還を国が全額負担する仕組みだが、れっきとした地方債。
20年度末時点の残高は都道府県では大阪府(2兆3390億円)、市町村では大阪市(7680億円)といずれも大阪が最も多い。
大阪府の場合、想定年収にあたる標準財政規模の1.5倍に及ぶ。東京都は十分な税収があり、国から交付金を受け取っておらず、一度も発行していない。
「抜本的な改革を行い、安定的に交付税総額の確保を」(全国知事会)、「速やかに廃止」(指定都市市長会)――。自治体からは見直しを再三要望してきた。ただある県の財政担当者は「正直言って、何か実害があるわけではない」と明かす。静岡県の財政担当者は「本来は増税や税源移譲で財源不足を補わなければならないはずだが、国は国で判断が難しいのだろう」と語る。
3年間の臨時措置が20年間延長
地方財政に詳しい大阪大の赤井伸郎教授は「地方にとって無視できない規模だ。
その実態は説明する責任がある」と自治体の姿勢を批判する。「景気が回復すればいつか返せるという淡い期待にすがらず、将来の財政運営に支障がないよう確実な償還計画を策定すべきだ」と求める。
3年間の臨時措置のはずが延長が続いた。
自治体の抱える残高は04年度末に総額10兆円を突破し、15年度末に50兆円を超えた。地方債全体の4割を占める。
国からの償還資金を流用の疑いも
国から毎年分割で償還資金が割り当てられる。自治体側がこの資金を基金などに積み立てず、流用している疑いも指摘される。
例えば北海道は財政難から積み立ての留保を繰り返し、国からの返済原資を別の用途に回してきた。
22年度から流用を見直すようルールを改め、過去に留保した分を積み増す取り組みも始めた。
同じような流用がどれほどあるのか、赤井教授らの推計方法に基づいて試算した。
臨財債の償還・積立実績と理論上の国からの割当額を比較すると、不足額は47都道府県合計で09年度に1876億円で最初のピークを迎えた。
その後、減少に転じたが、近年は再び増加し、20年度は09年度比1.8倍の3399億円に達した。
京都市は392億円の不足だった。元本の償還・積み立てを国と異なる考え方でやっていたためで「償還が滞ったわけではなく問題だと思わない」と主張する。一方で批判もあるとして、現在は国と同じ方法に改めた。
京都市は市議会などの説明で臨財債を除いた「実質市債残高」という概念を使う。
新潟県も同じように除外した「実負担」で公債費を管理する。「多額の借金を抱えているように見えても実際はそれほどではないと伝えたい」と新潟県の財政担当者は話す。地方の借金なのに国が返済を約束する、という責任の曖昧さが分かりにくさを生む。
根源問題は国に頼らざるを得ない地方
根源的な問題は、税源移譲を含めた地方分権改革(三位一体の改革)を経たのに、地方は財政的に国に頼らざるをえないことだ。
投資と移住を呼び込んで税収を伸ばす努力をしなくても、国が最低限の税収を保障する地方交付税の構図は変わっていない。
06年度から地方債の発行に国の許可がいらなくなったが、財政の悪化した自治体は許可が必要になる例外もある。
それ以外の自治体も発行に協議が必要で、自立は遠い。地方分権が双方にとって中途半端に終わった結果、国も臨時と称した対応で取り繕えてしまう。
自治体のコロナ対策の財源となった地方創生臨時交付金でも、この先送り体質が浮き彫りになった。石川県能登町の巨大イカのモニュメントなどコロナ対策として疑問を感じる活用例もあり、優先すべきは地方創生なのか、コロナ対策なのか、制度設計や目的を曖昧にした結果だ。
臨時の名のもとにいびつな借金が膨らみ続ける構図は、問題から目を背けがちな統治機構の悪弊を象徴する。
議論・検証を回避 緊張感欠く
「臨時」と銘打つ国の施策がそのまま長期化し、解決を遠ざけたり、新たな課題を生んだりする例は過去にもある。
緊急対応を装い、当面の議論や検証を避ける先送り体質が透ける。
禍根を残した一例が1986年度に始まった大学の臨時的定員政策だ。大学進学率の上昇とその後の少子化という急変動の緩衝材として、期間限定で定員を増やすはずだったが、結局は恒常的定員に置き換わった。供給過剰を招き、足元で大学の定員割れが相次ぐ原因となった。
消費増税や新型コロナウイルス下で国民や企業にふるまわれた給付金などの多くも臨時を掲げた。必要なところに適切に公金が届いたのか、効果検証は乏しい。
岸田文雄首相が2021年に設置したデジタル臨時行政調査会は、名称を昭和期の行政改革の代名詞にならった。デジタル・トランスフォーメーション(DX)が国家的課題なのは確かだが、通常の審議会と何が異なって「臨時」と称するのかは分かりづらい。
国だけでなく、地方も受け身のままでは批判を免れない。財源ばかり求めるのではなく、国に先んじて制度設計の提案を打ち出す姿勢がみえない。相互に責任を押しつけ合うだけで、国と地方の健全な緊張感が育まれていない。
経済政策に詳しい大正大の小峰隆夫教授は訴える。「たとえ一時的な政策であろうとも議論や検証は欠かせない。臨時を免罪符にしてはいけない」
所見
国債残高が1,000兆円を超えた。53兆円が小さく見えるので大きな問題視をされていない。
国の財政も恒常的に国債に頼る状況であるが、
地方財政も同様。
財政破綻が具体化すると、日本円の価値は暴落する。
通貨の分散、資産の分散は国民が自発的に行うべき課題か。