世界の人口が15日、80億人の大台に到達する。
国連の推計によると、70億人に達した2010年から12年間で10億人増えた。
出生率の低下などで人口増加率は鈍化が進み、20年に戦後初めて1%を下回った。
新興国含め幅広い国々で少子高齢化が進む中、持続的な経済成長の実現が世界の課題となる。
世界人口が節目を迎えることにあわせ、国連は15日を「80億人の日」とする。
国連や国連人口基金(UNFPA)は高齢化や人口減少に対応した包摂的な社会の構築を呼びかける。
国連の中位推計では90億人に到達する次の節目は2037年になる。
80億人から90億人に増えるのには15年かかる見通しだ。
70億人から80億人が12年かかったことに比べスピードが緩む。
90億人から100億人にはさらに21年かかる。
1950年に1.73%だった人口増加率は63年に2.27%まで加速しピークに達したが、その後は鈍化に転じた。
90年代には1.5%を下回り、2020年には1%を割り込んだ。
国連の予測では40年代には0.5%を下回り、86年に人口増減率はマイナスに転じる。
人口増加率が鈍化した背景には世界各国で出生率が低下し、人口規模の維持に必要な2.1を割り込みつつあることがある。
高所得国の出生率は22年時点で平均1.56に下がった。
中所得国も10年の2.49から22年は2.16に低下した。
国連の予測では中所得国も30年代前半に人口維持に必要な2.1を下回る。
世界的な出生率の低下は乳幼児死亡率の改善、教育水準の上昇、家族計画の普及、女性活躍に対する社会制度の対応の遅れなど様々な要因が背景にある。
人口爆発の回避は国の発展に追い風となるが、一定期間後には高齢化と人口減少が避けられず、成長の足かせとなる。
低所得国の出生率は22年時点で4.54と引き続き高い状況にある。
新興国の少子化が進むなか、所得水準の低いアフリカ諸国が世界人口の増加をけん引することとなる。
22年の世界の平均寿命は71.7歳で、10年の70.1歳から1.6歳上昇した。
19年には72.8歳まで上昇していたが、新型コロナウイルスの流行で一時的に低下した。
国連は23年には73.4歳に回復すると推計する。
世界の高齢化率は10年の7.7%から22年は9.8%と約2ポイント上がった。
高所得国は19.2%と5人に1人が65歳以上なのに対し、中所得国は8.7%とまだ低く、高齢化社会の入り口にある。
10年から22年にかけて世界全体で65歳以上の人口が2.5億人増えたが、うち1.8億人が中所得国だった。
今後、新興国は増加する高齢者に対応した社会をどう構築するかが問われる。
人口減少に転じる国は今後増える。
国連推計では20年に韓国やロシアで人口増減率がマイナスとなった。
中国も22年から人口減少局面に入ると国連は推計しており、23年に人口規模でインドが中国を上回る。
中国だけでなく、タイは29年、台湾も30年に人口減が始まる。
欧州もすでにイタリアやポルトガル、東欧各国で人口減少が進んでいる。
労働力の減少を移民で補うことは可能だが、世界全体の人口増加が鈍る中で人材獲得競争は今後激しさを増す。
人への投資を進め、一人ひとりの能力を向上させなければ持続的な成長は困難になる。