慰謝料などを支払わせるために債務者の財産情報を裁判所を通じて入手する「財産開示手続き」が急増している。
2020年の新規受付件数は3930件で、2019年の577件から約7倍に増えた。過去10年で最多年と比べても3倍以上となっている。
急増の背景には2020年4月の改正民事執行法施行がある。これまでは手続きに応じない「逃げ得」があったが、手続きに出頭しなかった場合の罰則が「30万円以内の過料」から「6ヶ月以内の懲役または50万円以下の罰金」と重くなり、刑事罰の対象に含まれることになった。
申し立てできる人の範囲も広がった。従来は養育費の支払いや損害賠償を命じる確定判決などを持つ債権者に限られていたが、改正によって、判決ではくても支払いについて取り決めをした公正証書があれば申立てられるようになり制度利用のハードルが下がった。
改正前に利用が伸び悩んでいた最大の原因は、実効性の低さであった。差し押さえられる額より罰則の方が軽い場合、債務者が出頭しないことが多かった。改正前の2018年は財産開示手続きが決定されても不開示(不出頭を含む)となる割合が45.5%あった。
同年で殺人などの重大犯罪の賠償について、賠償命令などが出ていたケースでも43%が全額回収に至っておらず、25%では1円も支払われていなかった。
国の2016年調査では、養育費の取り決めをしている割合は母子家庭で42.9%だったが、継続的に養育費を受けている割合は24.3%にとどまった。
一方、改正後も手続きに応じないケースがあり、改正法を認識されていない可能性もある。2020年10月に、30代男性が財産開示手続きに出頭せず、民事執行法違反(陳述等拒絶)の疑いで警視庁に書類送検された。「軽い気持ちで出頭を拒んで摘発されれば、前科や前歴がつく可能性がある」と警察幹部より話がある。
所見
離婚によってシングルマザーとなっても、養育費を受けている割合が24%と低い状況。改正民事執行法により、「逃げ得」を取り締まることで少しは改善されるようであるが、まだまだ足りない。
平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」という調査データでは、
【シングルマザー世帯(母子世帯)の経済状況】
母子世帯の母親自身の平均年間収入 243万円
母親自身の平均年間就労収入 200万円
母子世帯の平均年間収入(平均世帯人員3.31人) 348万円
となっており、養育費や児童手当を入れても平均年収243万円、中央値は208万円となっている。
子供を育てるには余りにも少ない状況。日本で子供を増やしていく為には、子を持って困窮している世帯を救わなければいけない。今のままでは怖くて子を持てない。