ワクチンの3回目接種(ブースター接種)に向け、アメリカのファイザーなどがアメリカ食品医薬品局(FDA)に提出した資料が公になった。
(ファイザーのデータはアメリカ、イスラエルで実施した複数の研究がベース)
2回の接種後の1週間の完全接種の状態から1ヶ月以内だと効果は93%あるが、徐々にデルタ型への感染予防効果は下がり、4ヶ月以降に当初の53%になった。重症化予防効果も60%未満に落ちる可能性も示している。
既に始めているイスラエルのデータからは、追加接種(ブースター接種)の効果は、感染率が追加接種していない人の約11分の1に下がり、重症化する割合も約20分の1に下がった。
ワクチン接種が進む先進国では追加接種の検討が進む。FDAは9/17の第三者委員会で追加接種の可否を議論する。日本でも厚生労働省が9/17、3回目接種に向け専門家による議論を始める。
アメリカは2回目接種を終えて8ヶ月後の人を対象に3回目接種を始める方針。イギリスも一定の条件で2回目接種から6ヶ月後の人に3回目の接種を来週より開始する。
一方、3回目接種には異論もある。多くの発展途上国は2回接種のワクチンを十分に入手できていない。FDAの一部研究者は「重症化予防には高い効果を維持しているので、追加接種(ブースター接種)は一般の人へは必要ない」「追加接種の利点が、未接種者への接種の利点を上回らない」と主張する。
ワクチンの累計生産量は2021年末までに120億回分を超え、世界で必要な数を上回る。接種が遅れる国・地域がないように配分する必要がある。
所見
3回目接種はイスラエルのデータからも効果がありそう。接種を進められる国は、どんどんやるべきだ。2回目接種ができていない国を優先するべきとの声もあるが、そのような議論をすることが時間の無駄で、「とりあえず進める」という攻めの姿勢も大切だと思う。世界中の平仄を合わせることは難しい、「とりあえず進める」姿勢が結果的には感染抑制になり、遅れている国にも良い影響があるはず。
一方、ウイルスは常に変異し、3回目接種では効果が保てるかわからない。4回目、5回目とワクチンを打ち続けることになると思う。