中国人民銀行(中央銀行)は9/24、暗号資産(仮想通貨)の決済や取引情報の提供など関連サービスを全面的に禁止すると発表した。
違法な金融活動と位置づけ、海外の取引所がインターネットを介して中国国内でサービスを提供することも違法となる。
人民銀行の発表を受けて代表的な仮想通貨であるビットコインの価格は急落し一時9%下落した。
規制をする3つの理由
①マネロンや違法な資金調達を規制するため
人民銀行は仮想通貨の投機取引が「経済や金融の秩序を乱し、資金洗浄(マネロン)や違法な資金調達、詐欺行為を引き起こしている」と指摘した。
②仮想通貨を通じた資本の国外逃避を徹底して防ぐ。
コロナの感染拡大前、中国では資金流出が続き、金融当局が海外とやり取りする資本の規制を強めていた。仮想通過は規制をかいくぐる抜け穴となっており、監視を厳しくしていた。
③デジタル人民元の発行(2022年予定)
人民銀行は冬季五輪での実験や法整備を踏まえ2022年中にもデジタル人民元を正式発行する方針。中国人民銀行法の改正案は、法廷通貨にデジタル人民元も加え、仮想通貨などの民間のデジタル通貨は禁じる。仮想通貨は当局の監視が届きにくい。複数の仮想通貨が乱立すると、貨幣流通量の管理が難しくなり、貨幣供給が不安定になるのを防ぐ。
変わり始めたのは2017年
かつてはビットコインの取引もマイニング(採掘)も8割以上が中国で行われているとされていた。仮想通貨の投資家の間では「中国コイン」と呼ばれることもあった。
2017年から国内の取引所の閉鎖などが始まり、2018年には中国人民元建のビットコイン売買は全体の1%にも満たなくなった。
マイニング量は2021年4月は5割近くあったが、締め付けにより6月にはほぼなくなったとみられている。
所見
デジタル通貨(CBDC)の発行は各国が準備を進めており、アメリカでも取引所への規制強化が強まる。中国は極端であるが、各国が規制を強めた場合、ビットコインの価値は下がるのか。
一方、エルサルバドルのように法定通貨に利用する国もある。
リスクはあるが、「便利」な仮想通貨はまだ見捨てるにはまだ早い。投資対象としても選択肢には入れておいて良いと思う。