仮想通貨(暗号資産)を巡る税務処理に国税当局が監視を強めている。数十人の個人に対して大規模な税務調査が入り、計14億円の申告漏れが指摘され6億7千万の追徴課税となった。
今回の対象はエイダ(ADA)
調査は2020〜2021年にかけて、関東信越国税局が実施。関東地域に住む個人が対象だった。仮想通貨「エイダ」の売買で利益を得たことに対する対応、エイダをビットコインなどの別の仮想通貨に換えて利益を得たのにもかかわらず、申告をしていなかった例が多かった。
エイダは海外での取引が主で、最近まで日本の仮想通貨交換業者は取り扱っていなかった。世界最大規模の仮想通貨交換所「バイナンス」でエイダは2020年までは1ドル未満で取引されていたが、その後急騰し足元は2ドル前後で推移している。
取引量が増える仮想通貨
仮想通貨の取引は急増している。日本暗号資産取引業協会によると、2018年9月に日本国内で8千億円だった仮想通貨の取引額は2021年6月時点で2兆円超、5月は5兆円を超えた。
個人が資産形成の手段とするだけでなく、企業が投資活動として保有する例も増えている。国内の上場企業のうち少なくとも16社が仮想通貨を保有し、評価・売却損益を計上していた。
グレーな節税策が広まる
一方で法的にグレーとみられる「節税策」も広まっている。節税セミナーなどで、『仮想通貨から仮想通貨への交換は非課税』といった誤った情報が流れ、それを信じて節税策を行なった人もいる模様。
専門家が書いた書籍などでも、古い情報のまま販売されている例もある。例えば2019年の税制改正で、法人がビットコインなど頻繁に売買される仮想通貨を保有するび、含み益に課税されるようになったが、「含み益は非課税」という記述がるノウハウ本もある。
国税庁は、正確な情報の発信に努める。2017年には仮想通貨の取引で生じる利益が「雑所得」にあたるとの見解を公表した。仮想通貨を別の仮想通貨と交換した場合も課税対象になると注意喚起した。
所見
エイダのように、まだ大きく値上がりする仮想通貨もある。仮想通貨市場はギャンブルに近い。一方で税制が整っていくことを考えると、世間からも認められる投資先になりつつもある。
世界中がデジタル化に進み、一部の上場企業も仮想通貨に投資をする中で、「仮想通貨(暗号資産)なんて、信用できない、怖い、」などとシャットアウトしている人は置いていかれるかもしれない。