岸田首相は記者会見で金融所得課税の見直しを検討する意向を示した。総裁選の中で、「選択肢の一つ」と話をしていた。
一律20%の税率を引き上げて税収を増やし、中間層や低所得者に配分するなどを検討する「新しい資本主義実現会議」を新設し議論を進める模様。
1億円の壁
首相は『成長と分配の好循環』を実現するための手段として、『1億円の壁』を念頭に金融所得課税について考える必要に言及している。
『1億円の壁』は、所得1億円を超えると、所得税の負担率が低くなる現状のこと。株式譲渡益や配当金など金融所得への課税は一律で20%(所得税15%、住民税5%)。
一方、給与所得などの場合、累進課税いなっており所得が多いほど税率が上がる。課税所得が4,000万円以上は最高の55%(所得税45%、住民税10%)となる。金融資産を多額保有する富裕層であれば、所得に占める金融所得の割合が多く、税率が低くなる。
具体的な方向性は衆院選後に本格化する2022年度税制改正などで議論される。
(所得階層・所得税率)
250万円・3%
500万円・5%
800万円・10%
2,000万円・20%
1億円・28%
10億円・22%
100億円・16%
市場には投資家意欲を冷やしかねないとの警戒感が強く、政府が推進してきた「貯蓄から投資へ」との方針に逆行するとの声もある。
2012年の安倍政権以降、金融所得課税についてはたびたび議論されてきた。安倍首相、菅首相は株高の維持を優先して慎重な姿勢で具体化しなかった。
所見
岸田さんは、どこまで本気なのか。選挙前のパフォーマンスなのか、本当に金融所得課税を上げるつもりなのか。
金融所得課税を上げることで一旦は「分配」はできるが、「成長」は止まってしまう可能性が高い。投資の妙味が下がり、新たな投資家が増えない可能性や、IPO等で企業を上場させて金持ちになる夢が減ってしまう。
そして1番の狙いである「富裕層」は海外へ出て行ってしまう可能性も高い。結局、中間層が頑張って投資をして、そこから吸い取る構造となり、「分配」にならないのではないか。
ただのパフォーマンスであってほしい。