給付金・賃上げなど「分配全面」に出す
10/8、岸田首相は就任後初の所信表明演説をした。非正規社員、子育て世帯などへの給付金支援や賃上げ企業の税制優遇は唱えた。分配重視の姿勢を示す一方、成長のための「改革」には言及しなかった。
所信表明演説のポイント
【めざす社会像・政治】
- 新しい資本主義、成長と分配の好循環
- 信頼と共感を得られる政治が必要
【コロナ対応】
- 経口治療薬の年内実用化、3回目ワクチン接種へ準備
- 非正規・子育て世帯に給付金
【エネルギー】
- 2050年カーボンニュートラルの実現
- 温暖化対策を成長につなげるクリーンエネルギー戦略
【成長戦略】
- 科学技術分野の人材育成や研究開発投資
- 地方からの「デジタル田園都市国家構想」
【分配戦略】
- 労働分配率向上へ賃上げ企業の税制支援
- 看護師・介護士らの収入増へ検討委員会
【外交・安保】
- 国家安保戦略、防衛大綱、中期防を改定
- 核兵器のない世界をめざす
目玉政策で打ち出したのは財政資金をテコにした分配政策。非正規社員や子育て世帯など困った個人への給付、事業者向けも地域や業種を限定せず規模に応じて支給すると約束した。
衆院選で有権者の支持を集める「分配政策」への期待が与党内に高いことを意識した模様。
一方、分配のためには成長・改革が必要であるが、「改革」には触れず「成長と分配の好循環」の道筋は見えない。分配政策を進めるあまり「規模ありき」の予算編成だと経済が停滞したまま、政府債務は膨張する。
安倍政権、菅政権の時代は財政出動と金融緩和を続け、国と地方の長期債務残高は2012年度末の932兆円から1200兆円に増えた。債務の増え方に比べて国内総生産(GDP)の伸びは鈍く、2020年度末の債務残高のGDPに対する比率は2012年度よりも30%以上高まり225%に達する。
まず必要なのは日本の労働生産性を引き上げることだ。経済協力開発機構(OECD)によると2020年の労働時間あたりGDPは48ドルにとどまり、主要7カ国平均の65ドルを大きく下回って最下位となっている。アメリカは日本の1.5倍あり、10年前から変わっていない。
所見
岸田さんは「分配」と言えば国民から支持を得られると思っているよう。そもそも改革をして成長しなければ、「分配」する財源が無い。「改革」という言葉が1度も出なかったのは、改革をする気が無いからです。一方、菅さんは所信表明で「改革」と16回唱えた。菅さんに期待があったが、派閥が無いため自分の好きなように進められなかったのが現実だった。
今回の岸田内閣は安倍、麻生、甘利に気を使う必要があり、且つ、そもそも「改革」をする気が無い。全く、期待できないし、選挙で大敗してほしい。