ゆうちょ銀行が脱無料
ゆうちょ銀行は2022年1月17日からATMで硬貨を入金する際に手数料を取る。硬貨1〜25枚の入金から110円かかる。手数料以下の入金はできないため、最低でも111円の入金が必要。ATMで硬貨入金の手数料を導入するのは大手行で初めて、これまで無料であった窓口での硬貨入金にも手数料をかける。ゆうちょ銀行は「当行を取り巻く経営環境が厳しくなっており、一定の負担をお願いせざるをえない」と説明する。
メガバンクの状況
メガバンクでは2019年12月に三井住友銀行が、2020年4月に三菱UFJ銀行とみずほ銀行が、窓口での大量の硬貨入金に対して手数料を新設した。りそな銀行も硬貨による入金手数料を引き上げた。
硬貨の取り扱う銀行の負担
硬貨の入金や両替は飲食店や小売店など中小事業者がお釣りの用意などで頻繁に利用するサービスであり、事業者にとっては日常的に負担増となる。
一方、現金を取り扱う銀行の負担はどうなっているのか。
銀行支店ではまず、ATMや窓口で預かった硬貨を専用の機械で50枚ずつビニールでまとめる。その後、ドンゴロス(麻袋)と呼ばれる頑丈な袋に詰め、現金輸送車の回収に合わせて支店の外に運ぶ。成人男性でも1つ運ぶのに大変な重さになる。銀行支店で手間がかかる代表的な業務の一つ。
超低金利、銀行の厳しい収益環境
各手数料の値上げの背景には、厳しい収益環境がある。メガバンクなど大手5行の国内での20年度の資金利益は約1兆8,000億円と5年前(2兆4,000億円)から2割以上下落した。日銀マイナス金利の導入など、超低金利環境が長引いているのが主因。金利収益などがあり、無料にできていた「付帯サービス」は業務ごとにコストに見合った対価を求めざるを得なくなっている。
ATMも高コスト
ATMは現金輸送で高度なセキュリティが求められるため、2人以上で担うほか、警備会社に委託するケースも多い。三菱UFJ銀行と三井住友銀行はATMの管理・保守を協調領域と位置付け、共同運営に乗り出した。
先進国ではATM数は減少傾向にある。成人10万人あたりのATM数はオランダでは36台(10年前58台、▲4割)、スペインやデンマークでも3割減っている。日本は122台(▲7%)と減りが少ない。
ネット銀行など金融アプリの利用率は世界全体が35%なのに対して日本は21%で根強い現金主義を物語る。
所見
銀行での入金、税金支払い、口座開設、通帳繰越など、世間で無料だと思われているサービスは、高いコストがかかっている。
なぜ無料なのか、
かつては、それを上回る金利収入があったから「付帯サービス」として提供できていただけである。
政府・日銀の方針で金利を無くした(ゼロ金利)ことで、当然の値上げである。
一方で、「なぜ入金してあげるのに、手数料を取るのか」と文句を言う一部のお客さまもいる。日本は金融リテラシーが低すぎるので、キャッシュレスが進まず、貯蓄から投資も活性化しない。
金融教育を小学校からすべき。私は自分の子供に、金融を教えていこうと思う。