金融庁は9/28、2024年3月に地方銀行や信用金庫向けに新たな資本規制を導入すると発表した。2008年のリーマンショック後の国際規制(バーゼル3)を踏まえた銀行規制の総仕上げとなる。
株式や劣後債などリスク資産の評価を厳しくし、金融機関が平時から十分な流動性を維持するように促す。国際的に活動する大手銀行は2023年3月から導入し、地銀や信金はその1年後24年3月からとなる。
バーゼル規制
バーゼル規制は、日米欧などの主要国の銀行監督当局でつくるバーゼル銀行監督委員会がつくった金融機関に対する自己資本規制。世界的な金融危機の再発を防ぐことを主眼に置く。
銀行は損失に備え、株式など損失リスクがある資産(分母)に対して自己資本(分子)の比率を一定水準以上に保つ必要がある。(メガバンクなどの国際統一基準行は8%、地銀国内基準行は4%)
新規制は銀行が保有するリスク資産の評価を厳しく
新規制はこの自己資本比率の計算式で株式のリスク評価を2.5倍に、中堅・中小企業向け債権は逆に評価を15%引き下げる。
【新規制の主な変更点】(自己資本比率の分母(リスク資産)の計算方法)
中堅・中小企業向け融資 | 100%→85% |
株式 | 100%→250% (5年間の段階適用) |
劣後債 | 100%→150% |
住宅ローン | 担保による保全が高い場合 (残債が担保の8割以下) 債権は軽減 |
例えば、メガバンクが100万円の株式を保有する場合、従来は8%の8万円を資本を必要があった。新規制導入後は必要となる資本が2.5倍の20万円となる。逆に中小企業への融資であれば、6.8万円と減額される。
所見
メガバンクは本新規制に向け、株式の売却などを進めているが、地銀・信金は大丈夫か。
地銀は中小企業への融資は低金利もあり利益が取れないため、リートや株などの投資を増やしている。自己資本が厚くないと、その手法は使えなくなる。リーマンショックを再び起こしてはいけないという至上命題のため、厳しい規制は仕方がないが、地銀が沢山潰れる状況になれば逆効果ではないか。