高級車売れ行きがコロナ前を超えた
1000万円超の高級車(主に輸入車)の販売が好調である。2021年8月はコロナ前の2019年8月に比べ1.3倍となった。2021年2月から、2019年の実績超えが続いている。
ベンツのディーラーによると、売れ筋は高額の多目的スポーツ車(SUV)。2021年は新モデルの「GLS(希望小売価格1277万円)」・「GLE(同964万円)」や高級モデルの新型「Sクラス(同1338万円)」となっている。
BMWでも1000万円を超える「7シリーズ」・「8シリーズ」の販売は落ち込んでいない。
トヨタ自動車の高級ブランド「レクサス」の売れ行きも好調で、2020年11月から前年同期を上回り続けている。
一方、高級車の販売も半導体不足の影響の不安はある。通常は在庫があり、SUVなどすぐに納車できるモデルでも足元は3〜4ヶ月かかる場合も出ている。高級車ほど最新システムを搭載し、必要な半導体も多く影響が大きくなる。販売員からは「まだ在庫があるが、今後は品薄になり争奪戦になるだろう」「輸入車は工場から店舗に届くまで時間がかかり、国内生産の高級車に客を奪われるかもしれない」と話が出る。
理由はリベンジ消費、一方で中価格帯は低迷
高級車が売れる理由は旅行や外食に出かけられない富裕層による「リベンジ消費」によるもの。
メルセデス・ベンツ東京芝浦を訪れた医院経営者(男性)は来店から15分で1300万円の高級車を購入した。「お金の使い道に困っているんだよ」と顧客は話す。「普段なら年に数百万円にも及ぶ海外旅行や、経営する会社の高額な接待費が浮いた分を使っている」と販売員は予想する。1000万円超の高級車を買うのは主に医師、弁護士、などの士業の人たちや会社経営者などだ。
一方で2021年1〜8月の①400万円〜1000万円、②400万円未満は2019年の同期比で①19%減、②15%減とコロナ前から回復できずにいる。一般層の消費者による輸入購入は低調で二極化となっている。
所見
コロナによる二極化経済「K字経済」は、車の消費にも如実に出ている。恐らくは「高級車」だけでなく「高級腕時計」「芸術品」「不動産」なども売れ行きが良いのであろう。一方で一般層はコロナによる先行き不安から、買い物ができなくなっている。中価格帯の車の他にも売れ行きが悪いものが多いのではないか。「外食」なども政府による制限やコロナ対策のために、一般層が控えているのではなく、「節約」のために控えているのではないか。感染が収まっても、「節約」思考が戻らなければ、一般層の財布は締まったままとなる。
コロナ後こそ、「給付金10万円」など刺激策が必要だと思う。