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与党税制改正大綱が決まった。目玉の「賃上げ税制」は実効性が無いか🤔
自民、公明両党は10日、2022年度の与党税制w改正大綱を決めた。
与党税制改正大綱
▽…増税や減税、新しい税制の導入などについて翌年度以降に実施する内容をまとめた文書。自民、公明両党の税制調査会が例年12月に決定する。政府はこの大綱をもとに税制改正法案を作り、翌年1月召集の通常国会に提出する。
▽…税調では税制に精通するベテラン幹部でつくる「インナー」と呼ばれる非公式会合が実質的な決定権を持つ。例年8月に集約する各府省庁や業界団体の要望を踏まえ、政治情勢や経済構造の変化、税制改正による各業界などへの利害を考慮して議論を進める。
▽…専門性の高い議論になるため、党税調は政調の一機関にもかかわらず、税制改正の内容を決める権限を持つ。政府側にも首相の諮問機関「政府税制調査会」があるが、中長期的な税制のあり方を議論するのが主な役割だ。自公政権になってからは税制改正にほとんど関与していない。
賃上げ税制、企業の利用見通せず
企業の賃上げを促す税制優遇を広げる。減税規模は1000億円台を見込むが、想定通りに利用が進むか見通せない。
新型コロナウイルス対策などによる財政支出を裏付ける財源論議は進まなかった。
「成長と分配の好循環」掲げるも抜本改革手をつけず
今回は岸田文雄政権で初の税制改正となる。10月31日投開票の衆院選と第2次内閣の発足を経て自公両党が実質2週間の短期間で調整した。
首相が掲げる「成長と分配の好循環」に資する改正をめざしたが、抜本改革に手をつけなかった。
自民党の宮沢洋一税制調査会長は10日の記者会見で賃上げ税制について21年度に比べて1000億円台後半の減収になると説明した。22年度の税制改正全体に伴う増減税規模は「測るのが難しい」と述べた。
飴とムチの賃上げ税制
首相が最もこだわったのが賃上げ税制の拡充だ。全体の給与総額をベースにみた賃上げ率などに応じ、大企業は最大で30%、中小企業は同40%の税額控除とする。
従来は大企業が最大20%、中小が同25%だった。19年度の利用実績は13万件程度だ。
黒字の大企業にはペナルティーといえる措置も導入する。継続して働く人の給与総額の伸びが小さく国内設備投資も少なければ、研究開発に関する投資減税の対象から外す。
賃上げ税制の実効性を高められるか
賃上げ税制の実効性は見通せない。13年度の導入以来、見直しを重ねて継続してきた。厚生労働省の毎月勤労統計によると同年以降、現金給与総額の上昇率は最大1%台前半にとどまる。
宮沢氏は当初、持続的な賃上げを促すため基本給の引き上げを条件とするよう主張した。一度上げた基本給を下げるのは難しく企業にとって使い勝手が悪くなるとの意見が出て見送った。
労働生産性を高めるなど企業が継続的に賃金を上げられる環境を整える措置の重要項目も継続や拡充が目立つ。
負担増の議論は及び腰だ。新型コロナウイルスの新たな変異型「オミクロン型」の感染確認を受け、景気の下押し懸念がより広がったためだ。
住宅ローン減税は縮小
住宅ローン減税は低金利で控除額がローンの支払利息額を上回る「逆ざや」を是正する。
現行制度で期限の21年末から4年延長しつつ、ローン残高の1%を所得税などから差し引く控除率を0・7%に縮小する。
一方で新築の減税期間を「原則10年間、特例で13年間」から「原則13年間」に延ばす。家計や住宅市場に配慮した。宮沢氏は税収に変化はないと語った。
固定資産税の負担軽減措置を取りやめる
新型コロナ禍に伴う固定資産税の負担軽減措置の取りやめも段階的に実施する。
経済対策として21年度に限り、地価が上昇しても税額を据え置く特例措置をとっている。
住宅地向けは予定通り21年度で終了する。商業地向けに関しては地価上昇に伴う税額の増加幅の半分を対象として負担軽減措置を続ける。
抜本改革の目玉になり得る金融所得課税や炭素税のあり方を巡る議論は来年度以降に先送りした。
所見
景気が悪い中での住宅ローン減税の縮小は、消費意欲を冷やす。
所得が増えないが増税する、景気はますます悪くなる。
目玉の「賃上げ税制」も企業は利用しないだろう。
岸田政権の支持率は下がっていくか。
住宅ローンローン減税縮小の記事はこちら。