アメリカは暗号資産(仮想通貨)の規制を巡り、投資家保護に動き出した。
アメリカ証券取引委員会(SEC)のゲンスラー委員長より以下のような発言があった。
「仮想通貨交換プラットフォームで取引されるデジタル資産の大部分をSECに登録必要がある」
「詐欺や不正行為がまん延しているのに十分な投資家保護をあたえられていない」
「有価証券かもしれない数十種類のトークンを持っているのに、コインベース・グローバル社はウォール街の規制当局に登録していない」
投資家保護の強化、脱税・マネロンと合わせて政府と一体で対策を急ぐ姿勢だ。交換業者のSECへの登録案も浮上する。
SECの目的は2つ、
①続々と生まれる暗号資産への対応。世界には1万2,000の暗号資産が存在する。
②未整備な取引ルールを早急に整える。著名人がSNSなどで発信すると時価総額の小さい暗号資産の急騰につながり、相場操縦の疑いが払拭できない。申請が相次ぐビットコインETFの承認に踏み込めずにいる。
投資家保護の詳細設計はこれからであるが、政府も動く目的は、1つは『脱税の捕捉』だ。アメリカ財務省は5月に暗号資産について「市場拡大に伴って取引に関係する脱税などの違法行為が問題」と指摘した。8月に上院で可決した超党派インフラ投資案は暗号資産への課税強化で10年間で約3兆円の税収を見込む。
もう一つは『マネロン対策』だ。暗号資産取引はそもそも匿名性が高く、DeFi(分散型金融)と呼ばれる管理者のいない金融サービスで対策が難しくなっている。マネロンの国際組織であるFATFは世界各国に暗号資産への監視強化を求めていた。
所見
天下の金融市場を管理するアメリカですら暗号資産への規制が実態と追いついていない。今では日本でも一般人がビットコインへの投資が手軽に行える。一方、マネロンなど犯罪絡みの資金も多額入っているだろう。それが簡単に世界中に送金できる状況になっている。
中国では規制をかけ始めているが、エルサルバドルではビットコインが法定通貨となった。
SECが本腰を入れて規制やルール作りに動き出したことで、暗号資産の取扱は変わっていくと思うが、その後の暗号資産の価値はどうなるのか。
ある程度、法的にも整備されることで、信頼が保たれ値上がりする可能性もある。今からでも暗号資産にも投資すべきか。