スシロー、1皿120円〜へ値上げ
回転ずし「スシロー」を運営するFOOD&LIFE COMPANIES(F&LC)は9日、10月から各店舗ごとの最低価格を一皿120~150円(税込み)にすると発表した。値上げ幅は9~18円。
1984年の創業以来、続けてきた最低価格「税抜き1皿100円」を終了する。
円安、原材料・輸送費の上昇が要因
円安や原材料価格、輸送費の上昇などで現在の価格を維持するのは難しいと判断した。
回転ずし業界は1皿100円をキャッチフレーズに集客してきたが、最大手の値上げで各社も価格戦略の見直しを迫られそうだ。
F&LCは、地域ごとに店舗の賃料などを考慮して「郊外型」「準都市型」「都市型」と3つに分類している各店舗の最低価格を見直す。
1皿の最低価格は郊外型では税込みで現在の110円から120円になる。
準都市型は121円を130円に、都市型は132円を150円に値上げする。
また10月から郊外型の店舗では、税込みで現在165円の皿は180円に、330円は360円に値上げする。
原材料の7割は輸入に頼る構造
同日開かれた事業戦略発表会で水留浩一社長は値上げの理由について「原材料の約7割を輸入に頼っているため、円安環境は厳しい」と発言。また、水産資源の不足や世界的な物流の滞りなどの要因も指摘した。
「税抜き1皿100円」の終了について、水留社長は「質を落として出す道もあったが、味を落として提供してはいけない。100円の呪縛を自分たちで外す判断をした」と語った。
今回の値上げが2023年9月期の業績にどう影響するのか注目される。
F&LCは6日、22年9月期の連結純利益(国際会計基準)が前期比34%減の87億円になる見通しだと発表。
従来予想の120億円から下方修正した。国内のスシロー事業は夜間を中心に客足の戻りが鈍く、値上げで回復が遅れる懸念もある。
業界全体へ波及はあるか
また、同社の値上げが業界全体に波及するかにも焦点が当たる。
ゼンショーホールディングス傘下の「はま寿司」は、26日に税込みで1皿308円の商品群を319円に値上げする。
一方、1皿110円と同165円で提供している主力商品は据え置きとする。
カッパ・クリエイトは運営する「かっぱ寿司」について「価格改定については商品市況の動向などを注視して慎重に検討しているが、現段階で話せることはない」としている。
魚の価格上昇、人手不足
回転ずし業界は国内での魚の価格上昇や漁獲量減少、人手不足などを受けて魚の安定調達に不安を抱えている。
東京都中央卸売市場が公表している1キロあたりの水産物の平均価格は21年に1138円と、10年間で約3割上がった。
日本の漁獲量は20年にピーク(1984年)の約3分の1になり、漁業就業者は13年の18万1千人から、20年には13万6千人に減った。
また、水産物の輸入も先行きが見通せない。
ウクライナ情勢の悪化でロシア産の水産物確保が困難になっている。
所見
100円寿司は、低価格牛丼と同じくデフレの代名詞と言って良い。
その値段が円安、原材料価格等の上昇で値上げとなるなら、他も値上げが続く可能性がある。
100円ショップ、サイゼリア等の低価格ファミレス、
スタグフレーションは近いか。