マイナス金利は、銀行の経営難の大きな要因。
金利が上がれば、ベース収益が上がり銀行の経営状況も良くなる可能性があるが、
住宅ローン等の負債を抱える個人の立場は厳しくなる。
何だかんだで、日本は金利が低い方が、生き延びるかもしれない。
みずほBKにマイナス金利適用
みずほ銀行が日銀に預けている当座預金の一部にマイナス金利が適用されたことが分かった。
メガバンクでは半年ぶり。日銀のマイナス金利政策では、各行ごとに決められた一定額以上にのみマイナス金利がかかる。
日銀の金融緩和で運用難が強まるなか、みずほ銀行は市場での運用を減らし、日銀に預け入れる資金を増やしたため、マイナス金利が課されることになった。
日銀はもともと、銀行がマイナス金利を避けるために投融資を積極的に進めるようになる効果を狙っていた。
だが、運用先が限られるなか、銀行はマイナス金利を覚悟のうえで、日銀に資金を積まざるを得なくなっている。
世界では「脱マイナス金利」の流れが加速しているが、日銀の緩和政策の副作用も目立ちつつある。
マイナス金利適用は9,030億円
日銀の16日の発表によると、7月16日~8月15日の都市銀行のマイナス金利適用残高は9030億円だった。
みずほ銀行によると、ほぼ全額が同行の適用対象だという。2016年2月のマイナス金利政策の導入以来、同行にマイナス金利が適用されるのは初めて。
メガバンクでは21年12月~22年1月の三菱UFJ銀行以来、半年ぶりとなる。
マイナス金利政策は金融機関が日銀に預ける当座預金の一部にマイナス0.1%の利息を課す。
当座預金は①0.1%の金利が付く基礎残高②ゼロ金利のマクロ加算残高③マイナス0.1%の金利が付く政策金利残高――の3階層に分かれている。
①②を上回る③の部分にのみ、マイナス金利を課す仕組みだ。
ゆうちょ銀行や信託銀行、外国銀行などはすでにマイナス金利を課されているが、
みずほ銀行を含む3メガバンクは資金を市場で運用してマイナス金利の適用をできるだけ回避してきた。
具体的にはマイナス0.1%よりも利回りの高い短期国債を購入したり、国債を担保に現金を貸し出すレポ市場に資金を放出したりしてきた。
みずほ銀行にマイナス金利が課される背景には、短期国債の利回りやレポ市場の金利がマイナス0.1%を下回ったことがある。
日銀は6月、長期金利を0.25%以下に抑えるために16兆円超の国債を購入した。
市場に出回るお金が増え、短期市場を中心に金利の低下が進んだ。
みずほ銀行は金利上昇時に備えて他のメガバンクよりも保有する国債の償還までの平均残存期間を短くする戦略をとっている。
短期市場の金利低下の影響をより大きく受けることになり、日銀当座預金に積む資金が膨らんだ。
今回のマイナス金利適用で生じる負担は7000万円程度になる見込みだ。
収益に与える影響は限定的で、同行は「手数料の徴収など預金者に負担を転嫁するつもりはない」としている。
世界ではマイナス金利解除の動き
世界では物価上昇の加速でマイナス金利の解除に向かう動きが広がっている。
欧州中央銀行(ECB)は7月に0.5%の利上げを決め、8年間続いたマイナス金利を解除した。
スイスやデンマークもマイナス金利を導入しているが、すでに利上げを始めており、日銀だけがマイナス金利を脱却する見通しが立っていない。
マイナス金利政策によって、銀行は日銀当座預金の利息を通じた直接の負担だけでなく、利回り全体が押し下げられることによる運用収益の縮小という問題に直面している。
銀行経営が圧迫され、積極的に融資をしにくくなっているとの指摘もあり、副作用への警戒が改めて強まっている。