財布から健康保険証が無くなる、次は免許証をマイナンバーと統合させてほしい。
持ち物を少なくすることが、便利さの一つ。
2024年秋、健康保険証が廃止
政府は2024年秋をメドに現行の健康保険証を原則廃止する方向で最終調整する。
マイナンバーカードと一体化した「マイナ保険証」に切り替える。
カードの利用機会を増やすことでマイナンバー制度の定着につなげる。
河野太郎デジタル相が13日に発表する見通しだ。
政府はこれまで24年度をメドに従来型の健康保険証とマイナ保険証のどちらを使うか健康保険組合などに選択を求める予定だった。
マイナ保険証の原則義務化は医療機関でマイナンバーカード読み取り機が普及するのを待つ方針で、具体的な期限を区切っていなかった。
政府は全ての医療機関・薬局に原則23年4月からマイナ保険証へ対応する体制を整えるよう義務付けている。
22年10月2日時点で読み取り機の申し込み割合は病院や薬局で9割を超えたものの診療所では7割強だった。実際に導入した割合は病院でも5割弱にとどまる。
政府内には個別事情による例外を認めずにマイナ保険証への完全切り替えを求める意見もある。関係省庁で最終調整したうえで方針を公表する。
政府は23年3月までにマイナンバーカードをほぼ全国民に行き渡らせる目標を掲げる。22年9月末時点の交付率は49%で、現行保険証の廃止期限を決めることで普及を加速させる狙いもある。
河野氏は8月の就任以降「マイナンバーカードで生活が便利になると示すことが王道の普及策だ」と繰り返してきた。
日常生活でマイナンバーの利用機会を広げることを喫緊の課題と捉えてきた。
過去の診断・投薬の記録が確認できる
マイナンバーカードと保険証が一体化すると、利用者はカードの個人向けサイトで過去に受けた健康診断や診療、投薬の記録を確認できるようになる。
患者の同意があれば医療機関同士がこうした情報を共有し、診療に生かすこともできる。
政府が普及をめざす電子処方箋や電子カルテの基盤でもマイナ保険証の利用が前提だ。デジタル化により患者は質の高い医療を受けられる可能性が広がる。
医療機関側は保険証番号や氏名を手入力しなくても患者ごとに医療保険の資格があるかを確認できるようになる。
期限が切れた保険証の利用や、保険証の保有者になりすました不正利用を防ぎやすくなる。患者ごとの自己負担の限度額も把握できる。
健康保険証との一体化はマイナンバーカードの保有を事実上義務付ける措置ともとれる。
紛失すると再発行までに2カ月程度を要する場合があり、申請できる場所も市区町村の役所などに限られる。
マイナ保険証への切り替えには使い勝手の改善が必要となる。
インターネット上ではマイナ保険証の導入による情報流出を懸念する声がある。
政府はカード内のICチップに収めた電子証明書を機械で読み取るためマイナンバーや健康情報が流出するリスクは低いと説明する。
カードの取得に及び腰な患者が不利益を被らないかといった不安にも丁寧な対応が求められる。
政府はこれまでマイナンバーカードの新規発行や保険証との一体化に対して買い物で使えるポイントを付与するなどして国民に申請を促してきた。
現行保険証の廃止は優遇策を通じて普及させる手段からの転換といえる。