自民党の税制調査会は13日午前に開いた幹部会合で少額投資非課税制度(NISA)の年間投資枠を360万円に広げるといった税制改正の内容を了承した。
宮沢洋一税調会長は終了後、記者団に「つみたてNISA、一般NISAを抜本的に拡充する」と述べた。
週内をめざす2023年度与党税制改正大綱のとりまとめに向けて作業を急ぐ。
NISAは24年から制度を恒久化し、配当金などに税金がかからずに投資できる期間を無期限にする。
投資信託に投資するつみたて型は年間投資枠を3倍の120万円に拡大する。
国内外の上場株などに幅広く投資できる一般型は「成長投資枠(仮)」に衣替えしたうえで、投資枠を2倍の240万円に広げる。
2つのタイプに同時期に投資することもできるようにする。
富裕層に恩恵が偏るのを防ぐため、生涯通算で1800万円の投資上限枠を設ける。
このうち1200万円は成長投資枠の対象商品に投資できる。
生涯枠は買い付け残高で管理する。
途中で売却して枠に余裕ができれば、その分はまた投資できる。
宮沢氏は「インデックス型などの証券商品を長期保有していれば、経済の成長とともに増えていく。そういう方向にかじを切る一石を投じる制度になる」と意義を説明した。
「年収平均で30億円くらいの方について少し負担を増やさせてもらう」とも表明した。
富裕層にとっては所得税の増税となる。
所得が1億円を超えると税負担率が下がる「1億円の壁」の是正に向かう。
所得が30億円を超える200~300人が対象となる見込み。
所得50億円のケースでは2~3%負担が増える想定だ。
合計所得金額から3.3億円を差し引いたうえで22.5%の税率をかけた金額で計算する。
これが通常税額を上回る場合に差額を徴収する。
生きている間に子や孫に財産を移す生前贈与のうち、相続財産に加えて相続税の対象とする期間を現行の死亡前3年から7年へと延長することも了承した。
生前の早い段階での贈与を促し、若い世代が結婚や子育てなどで資金を必要としているときに円滑に資産が移りやすいようにする。
個人投資家のスタートアップ支援を促す税制措置もつくる。
投資家が株式の売買で得た利益をスタートアップに再投資した場合、20億円までは売却益に課税しない。
税優遇で投資家の資金を新たな起業につなげる。
岸田文雄政権はスタートアップの育成を「新しい資本主義」の重点分野に掲げており、税制面で後押しする。