政府は2025年に開く国際博覧会(大阪・関西万博)での決済手段を全面的にキャッシュレスにする。
会場内での支払いに現金は使えず、クレジットカードや交通系ICカード、QRコードなどのみにする。
ブロックチェーン(分散型台帳)技術を使った独自の決済アプリも提供する。
万博で全面的にキャッシュレス決済を導入するのは世界で初めて。
学生や高齢者などスマートフォンやキャッシュレス決済手段をもたない人にはプリペイドカードの販売を検討する。
大阪・関西万博は日本国際博覧会協会が運営し、25年4月13日に開幕する。
合計153の国・地域(日本除く)と8つの国際機関が参加を表明している。
同年10月13日までの期間中、2800万人の来場を想定しており、大規模な実証実験が可能とみる。
キャッシュレス化することで、レジの時間を短縮し、釣り銭の準備も不要になる。
クレジットカードの国際ブランドや交通系IC、QRコード決済など60超の事業者が参画する。
中国や韓国、タイ、フィリピン、シンガポール、マレーシア、インドの事業者も参加する見込みだ。
大阪・関西万博の独自のスマートフォンアプリ「EXPOデジタルウォレット」も導入する。
銀行口座やクレジットカードから電子マネーをチャージし、1コイン=1円で会場内の売店や食事、パビリオンで使えるようにする。
万博の会期前や終了後の日常生活でも使えるアプリをめざす。
独自の決済アプリは、次世代インターネットのWeb3(ウェブ3)でも使われるブロックチェーンの技術を使う。
アプリの利用に応じてポイントを付与し、特別イベントの参加券や景品に交換できるようにする。
政府は25年までに、現在3割の日本のキャッシュレス決済比率を4割程度に高める目標を掲げる。
経済産業省は目標達成に向けて検討会を立ち上げた。
今年3月にまとめた報告書によれば、「現金がなくても生活できる」と感じる人は少数派で、キャッシュレス決済を積極的に使っている人でも7割が現金を持ち歩いている。
世界の注目が集まる大阪・関西万博をキャッシュレス決済推進の起爆剤にしたい考えだ。