銀行員奮闘記
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今日のネタ

逆風に負けぬ運用賢者 変わるセオリー、投資のヒントは、割安・高配当⁉️

相場下落局面こそ、割安株発掘の大チャンス。ヒントは高配当株。

上昇局面ではインデックスファンドが最強であったが、下落時はそれぞれの腕の見せ所。

JPモルガンは相場に警鐘

「ハリケーンはすぐそこにある」。

米金融大手JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は6月、世界経済の先行きにこう警鐘を鳴らした。

決済や送金で1日7兆ドル(約950兆円)を動かす同社からの発信に危機感を覚えた市場関係者は少なくない。

今年上期(1~6月)の市場で既に嵐は吹いた。

ロシアのウクライナ侵攻によるサプライチェーン(供給網)の分断で世界的にインフレが加速。

米連邦準備理事会(FRB)は大幅な利上げを余儀なくされ、金融市場は歴史的な急変動となった。

株式市場からは緩和マネーが急速に流出している。

米S&P500種株価指数は約2割下落。ハイテク株の多いナスダック総合株価指数は3割安と上半期で過去最大の下げとなった。

日経平均株価は1割弱の下げと底堅いが、ドル建てでみれば2割強下げた。

低インフレ・低金利の環境に慣れきった株式投資家は「逆回転相場」ともいえる市場環境の急変に翻弄されている。

株式市場で特に売りが目立ったのが半導体株や高PER(株価収益率)のグロース(成長)株だ。

主要な半導体株で構成する米フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は4割近い下落率となった。

グロース銘柄への集中投資で知られる上場投資信託(ETF)の「アーク・イノベーション(ARKK)」は6割近く下げた。

東京市場でも東京エレクトロンや日本電産など昨年までの上昇相場のけん引役が急落している。

割安株『待ち伏せ』

しかし市場を子細に眺めると「暴風」の中を勝ち抜いたファンドや銘柄も少なからずある。

三井住友トラスト・アセットマネジメントが2018年に設定した「日本厳選割安株ファンド」もその1つ。

6月の波乱相場のさなかに設定来のリターンが目標の20%に届き、23日に繰り上げ償還で投資家に利益を還元した。

「4年にわたる地道な運用の果実をようやく収穫することができた」。

同社アクティブ運用部国内株式運用チームの塩沢大シニアファンドマネジャーは話す。

貫いたのは低PBR(株価純資産倍率)のバリュー(割安)株を腰を据えて保有し続ける「待ち伏せ投資」だ。

業績が改善し始めてから買うのでなく、いつか来るであろう株価の復元に期待して長期保有するスタイルが逆回転相場で奏功した。

年前半の成績上位ファンドをみると、地味ながらも長期的な目線で割安な銘柄を発掘してきたファンドの健闘が目立つ。

楽天証券経済研究所の篠田尚子ファンドアナリストは「バイプレーヤーに光が当たるようになってきた」と指摘する。

念頭に置いているのは市場で過小評価されてきた割安株や高配当株だ。

これまで相場をけん引してきたグロース株が後退し、日陰の存在とみられてきたバリュー株に資金が向かいつつある。

ハリケーン到来、アクティブファンド復権か

過剰流動性の追い風がやみ、成長株に投資するだけで短期的に高いリターンが得られる局面は終わりを迎えようとしている。

緩和マネーにより全盛を迎えた株価指数に連動するパッシブファンドも、金融引き締めによりパフォーマンスが低迷している。

今後、個別の銘柄を選別するアクティブファンドの復権を予想する向きもある。

年後半の市場環境には引き続き暗雲が漂う。

インフレで落ち込む消費者心理や、利上げによる金利上昇で打撃を受ける住宅投資など先行きの不安の芽は確実に増えている。

「ハリケーン」到来は夏場以降との見方が多い。

米国野村証券は22年内の景気後退入りをメインシナリオとする。

英フィナンシャル・タイムズとシカゴ大が世界の経済学者50人弱に実施した6月調査では4割が23年前半までの景気後退を予測した。

逆風が吹き荒れる中にも針路はあるか。

勝ち抜きファンドのぶれない運用哲学から投資ヒントを探る。

割安・高配当株を深掘り

1~6月の逆転相場では多くのファンドの成績がマイナスに沈んだ。

その中で基準価格を上げた日本株ファンドには割安株や高配当株に投資するファンドが並んだ。

投資スタイルとして浮かび上がるのが、チャンスをじっくり待つ「待ち伏せ」ともいえる姿勢だ。

下落局面で優良株を割安に買い、長期目線で値上がりを待つ。

徹底した事業分析により配当の安定性を見極める「好配当」投資も波乱相場では奏功した。

誰もが知る大型株にも勝機はある。勝ち抜きファンドの投資術を解剖してみよう。

1~6月を乗り切ったファンドの運用者はどのような銘柄選びをしているのか。

成績上位の10ファンドが好んで組み入れる銘柄をみたところ、日経平均株価と比べ割安感や配当利回り面の魅力が強い銘柄が並んだ。

株価上昇率の大きかった三井不動産やNTTなど誰もが知る大型株ではあるものの、PBR(株価純資産倍率)の1倍割れ、または配当利回り3%超えなど指標面での割安さが目立つ。

ただ「割安」というだけではない。

運用賢者は様々な指標を使い深掘りしている。

野村アセットマネジメントで「日本好配当株投信」を運用する佐藤智喜シニア・ポートフォリオマネージャーは、単純な配当利回りの高さだけでなく、

①業績が下振れしても減配しない「累進配当」

②配当金に下限を設ける「下限配当」

③自己資本に対する配当総額の割合である「自己資本配当率(DOE)」の3つの指標に注目する。

「中長期的な配当の成長性と変動リスクの小ささを確認できる」と話す。

累進配当を掲げる会社は株価が下がるほど利回り面での投資妙味が高まる。

例えばアステラス製薬は中期経営計画で累進配当に近い方針を掲げている。

製薬ビジネスは新薬の開発状況により業績がぶれることもあるが、累進配当により「好配当」が期待できると見て佐藤氏はファンドに組み入れた。

1~6月に日経平均が1割近く下げる中、アステラス株は1割強の上昇と逆行高を演じた。

DOEも業績変動の影響を比較的受けづらい。

安定的に還元する姿勢を示すため採用する企業もある。

例えば第一三共は26年3月期に8%以上へ引き上げる目標だ。

ファンケルは利益還元の基本方針として「配当性向40%程度およびDOE5%程度を目途に配当金額を決定する」としている。

22年3月期の上場企業の平均DOEは約3%だった。

三井住友DSアセットマネジメントで「大和住銀日本バリュー株ファンド」を運用する部奈和洋シニアファンドマネージャーは、PBRと自己資本利益率(ROE)を組み合わせて割安株を厳選している。

事業分析を徹底し、その企業がROEをどこまで高められるかを見定める。

将来的に「稼ぐ力」を高められる可能性があるにも関わらず、PBRが割安水準にある銘柄群が主な投資対象だ。

同ファンドが過去7年にわたりオーバーウエイト(強気)の投資判断をしているのが豊田自動織機だ。

同社はフォークリフトとカーエアコン用コンプレッサーなどで世界シェア首位の「ニッチトップ」企業だ。

電子商取引(EC)関連の物流ソリューションなど成長事業があり、中長期的なROEの向上が見込めるという。

一方、足元のPBRは1倍を割れる。成長性が過小評価されている割安株とみて投資を継続している。

6月に早期償還した「日本厳選割安株ファンド」が重視するのは株価の復元力だ運用を担当する塩沢大シニアファンドマネジャーは

「3年程度で株価が再評価される可能性があるか。

短期ではなく、中長期の復元力を見極めて待つ忍耐が重要だ」と指摘する。

新型コロナウイルス禍の影響で業績と株価が落ち込んだ電子部品大手アルプスパインには逆張りで投資してきた。

短期では主力の車載部品の需要低下で業績が落ち込んだものの、中長期目線では生産再開にあわせて業績が復元するとみたためだ。

アルプスアルは4月28日に23年3月期の連結純利益が前期比44%増の330億円になりそうだと発表した。

市場予想平均であるQUICKコンセンサスの249億円(4月26日時点)を上回り、株価が急伸。

1~6月に3割近く上昇し、ファンドの運用成績に大きく貢献した。

22年上半期は金利環境の変化などを受けグロース株からバリュー株への資金移動がみられた。

下半期について、フィデリティ投信の福田理弘インベストメント・ディレクターは「景気減速を加味しながら、業績や株価の変動の少ない銘柄を着実に見極めて投資する必要がある」と指摘する。

注目するのは東証株価指数(TOPIX)が1%動くと個別銘柄が何%動く傾向があるかを示す「β(ベータ)」値だ。

「フィデリティ・日本配当成長株・ファンド」は、ポートフォリオ全体の平均βを0.9に抑えている。上半期に底力を見せた割安・高配当株も、相場全体の動きにつられにくい低β株という特徴を持つ。

年後半も変動相場が続くと予想されるだけに、安定を重視した運用が引き続き有効となりそうだ。

各種指標を組み合わせ、業績や配当の「ぶれない」銘柄を厳選することが、逆転相場の中での針路となりうる。

外国株投信、エネルギーに強さ

外国株式ファンドで上半期、基準価格の上昇率上位に並んだのがエネルギー・資源関連だ。

ロシアのウクライナ侵攻による価格高騰が背景にある。

新型コロナウイルス禍からの経済再開(リオープン)の恩恵を受けるアジア新興国をテーマにしたファンドも好調だった。

急激な円安による底上げ効果もあり、2ケタ台の高いリターンを出したファンドもある。

基準価格の上昇率が41%と突出して高かったのが野村アセットマネジメントの「米国エネルギー革命関連ファンド」だ。

エネルギーの採掘・輸送に関わるインフラ利用料収入を収益源とするMLP(マスター・リミテッド・パートナーシップ)のうち、米シェールガス関連のパイプラインを中心に投資する。

原油の国際指標であるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物はウクライナ侵攻直後の3月に1バレル=130ドル台と期近物として2008年以来の高値に急騰した。

田中大樹ポートフォリオマネージャーは「多くのMLP企業が安定してキャッシュフローを生み出せるようになったことも追い風になった」という。

エネルギーや資源という観点に加えてインフレ耐性から選好された資産がインフラだ。

アセットマネジメントOneの「ワールド・インフラ好配当株式ファンド」は送配電の英ナショナル・グリッドや有料高速道路運営の豪アトラス・アルテリアに投資する。

インフラの使用料で利益を上げる企業がターゲットだ。森内隆ファンドマネジャーは「物価上昇分を転嫁できる料金体系の企業も多い」と話す。

新興国関連では内需に着目した投資が奏功した。

三井住友DSアセットマネジメントの「三井住友・アジア・オセアニア好配当株式オープン」で組み込む銘柄の1つが中国国有不動産の華潤置地(チャイナリソーシズランド)だ。

中国恒大集団の資金繰り悪化を受け不動産株は低迷したが、華潤置地の強固な財務基盤や成長戦略を評価した。

村井利行プロダクトスペシャリストは「株価に割安感が出たところで拾った」と話す。

「イーストスプリング・インド消費関連ファンド」もプラスを確保した。

成長期待を支えにインドの株価指数SENSEXは1~6月に9%安とMSCI新興国株指数の15%安に対し下げ渋った。

イーストスプリング・インベストメンツの面谷祥友営業マーケティング本部長は「個人投資家層の厚みが増したことが株価の底堅さの要因」と指摘する。

都市封鎖下で投資を始める人が急増したという。新型コロナの感染状況が落ち着き、経済再開の恩恵を本格的に受けられることも追い風だ。

下期は原油下落のリスクも

上期に好調だった投資戦略は下期も有効なのか。

野村AMの田中氏はMLPの業績拡大が続くと予想する。

自動車や航空機燃料としての需要回復が見込まれるなか、掘削設備(リグ)稼働数もコロナ前水準に数年かけて戻ると見るからだ。

アジア新興国株についても、HSBCアセットマネジメントのジョー・リトル・グローバル・チーフ・ストラテジストは「中国政府が財政出動で景気を下支えする恩恵を受ける」と強気を維持する。

ただ原油は下落リスクもはらむ。WTIは既に景気後退懸念を織り込み一時100ドルを割れた。

「ウクライナ情勢次第だが、さらに高値を追う展開は考えにくい」(インベスコ・アセット・マネジメントの木下智夫グローバル・マーケット・ストラテジスト)との声もある。

アジア新興国では半導体の需給緩和が警戒されている。

三井住友DSアセットの村井氏は台湾テクノロジー企業について「競争力はあるが、半導体サイクルが下向きだ」として保有比率を下げているという。

UBS SuMi TRUSTウェルス・マネジメントの青木大樹・日本地域最高投資責任者は下期以降の市場シナリオについて、金利が横ばいで株価がやや昇する「ソフトランディング(軟着陸)」が4割、株式が下落し金利も低下する「スランプ(景気低迷)」が3割と見積もる。

軟着陸シナリオであれば世界のエネルギー株の好調は続き、景気低迷ならヘルスケアなどディフェンシブ性のある株式や財務・収益が安定したクオリティー銘柄の投資妙味が増すと見る。

逆風相場にも勝機はある。個人は景気動向に目配りしながら、実績を手掛かりにぶれない投資戦略のもと銘柄選別するファンドを見極める必要がある。

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メガバンク太郎
とあるメガバンクで働く16年目の中堅行員です。30年目(51歳)では別会社に出向(給料激減)する運命の業界、それまでにFIRE※出来ないか真剣に考えるようになりました。 妻、子供5人の大家族で生活費もかさむ中、少しでも収入を増やすための「自己成長」、無駄遣いをしない「倹約」、お金を増やす「資産運用」の3つの軸で自らを律する為にブログを始めます。 ご覧になった方へ少しでも有益な情報にするためにも、精一杯がんばります。 ※Financial Independence, Retire Early=「経済的自立と早期リタイア」
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