3メガバンクが中途採用を大幅に増やす。2023年度は少なくとも計770人と21年度実績比4.5倍に急増する。新卒を含む採用全体に占める比率も4割に迫り、三菱UFJ銀行は24年度にも中途の採用数を新卒とほぼ同水準にする方針だ。デジタル分野などで即戦力となる人材を集めており、新卒中心だった3メガ銀の採用は転機を迎えている。
22年度の採用実績は計約570人と前年度比3.3倍まで増えたが、23年度はさらに35%以上、上積みする目標を掲げる。IT(情報技術)やマーケティング、マネーロンダリング(資金洗浄)対策、サステナビリティー(持続可能性)など専門的な知識が求められる部門で重点的に中途人材の採用を進めている。
みずほFGと傘下の銀行・信託銀行は22年度に計320人強を中途採用した。前年度比5.3倍の水準で当初計画より増えた。23年春入行の新卒は380人で、中途採用が新卒の5分の1以下だった前の年の採用活動から一変した。23年度は400人以上を採用する計画だ。
三菱UFJ銀は23年度、前年度より45%多い200人の中途採用をめざす。現在の仕事が多忙でも転職活動がしやすいよう、面接の回数を減らし、エントリーから最短2週間で内定を出せるようにする。中途入行者向けの研修も充実させる。来年度以降はさらに中途採用を増やし、24年度は新卒と同水準を採用する方針だ。
三井住友銀行は23年度に63%増の170人を採用する。デジタルなど専門性を持った人材や、若手社会人などを積極的に採用する。同行は新卒でも24年度入行からサイバーセキュリティーやデータサイエンスなどの採用コースを設けて専門性のある若手人材の確保を急いでいる。
3メガ銀の採用数に占める中途の割合は19年度の採用活動(新卒は20年入行)時にはわずか7%だったが、23年度は4割に迫る。中途採用を増やしているのは、デジタル金融の浸透や銀行法改正による業務範囲の拡大に伴い事業領域が広がっているためだ。
巧妙化する金融犯罪に対応するため、セキュリティーや法令順守分野で知見のある人材の確保も急務になっている。大量採用の「バブル入行組」が退職期に入るほか、雇用の流動化を背景に若手の離職が目立っているという事情もある。
メガバンク以外でも、りそなHDは23年度に傘下4行の合計で前年度比2.3倍の364人を採用する計画だ。22年度に中途採用を250人と8割増やした三井住友信託銀行も23年度に150〜200人程度をとる方針だ。