児童手当・育休給付引き上げ
政府は1日のこども未来戦略会議で少子化対策の拡充に向けた「こども未来戦略方針」の素案を示した。
毎月支給する児童手当は所得制限を撤廃し、支給の期間を拡充する。
2024年度中の実施をめざすと明記した。
24年度からの3年間に必要な予算を年3兆円台半ばとする。
当初見込んだ3兆円ほどから上乗せした。
予算を倍増する時期は、こども家庭庁予算で見て2030年代初頭までの実現をめざすと明示した。
岸田文雄首相は予算規模に関して「経済協力開発機構(OECD)トップ水準のスウェーデンに達する」と述べた。
政府は与党と調整し、6月中にまとめる経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)に反映する。
児童手当は親の所得にかかわらず、子どもが高校を卒業するまで受け取れるようになる。
中高生なら一律1万円となる。第3子以降の場合は0歳から高校生まで3万円が支給される。
一方、16歳以上の子どもを養育する世帯主が受けられる扶養控除は、給付との兼ね合いを検討課題とした。
親の就労を問わず時間単位で保育施設を利用できる「こども誰でも通園制度(仮称)」の創設を盛った。
両親が就労していないと利用できない現在の制度を改める。24年度からの本格実施を見据える。
育児休業の給付金も増やす。
夫婦ともに育休を取得するよう、男性の「産後パパ育休」の給付金の給付率を手取りで10割相当に引き上げる。今は手取りで8割相当にある。
25年度からの実施をめざす。
26年度をめどに出産費用の保険適用の導入も検討する。
子育て世帯の居住のために10年間で10万戸ほどの住宅を確保する。
財源に関して28年度までに歳出改革を徹底すると明記した。
既定の予算を最大限活用し、消費税などの増税はしないと記した。
首相は「実質的に追加負担を生じさせないことを目指す」と強調した。
企業を含めて広く負担を求める「支援金制度(仮称)」の創設は年末に結論を出す。
新たな特別会計の創設などのため、24年の通常国会に関連法案を提出する。
28年度までに安定財源を確保し、必要に応じてつなぎ国債の「こども特例公債」を活用する方針を盛り込んだ。