2018年の不適切融資問題を受け減少していた投資用不動産ローンが、21年4〜6月期の新規貸出は4年ぶりに前同比増加となった。日銀データによると、同期間の「個人による貸家業」への新規貸出額は約5,500億円となり2割増となった。20年度はコロナ禍での手控えがあり反動もあったが、コロナ感染拡大をきっかけに個人の資産運用への関心が高まった。
日銀が強力な金融緩和に踏み込んだことで低金利で調達でき、比較的高い利回りと節税効果も期待できることも背景にある。
一部地銀では、コロナ禍で不動産に代わる収益源の開拓が難しく、担保も取れ、融資額も大きい不動産ローンは魅力となり融資額が増えている。各行は18年にスルガ銀行のシェアハウス不適切融資で業務改善命令により、一斉に融資を絞っていた。
- 横浜銀行では6末アパートローン残高が1兆8,110億(前同比3%増)
- 静岡銀行では、同1兆204億(前同比4%像)
- 香川銀行では、投資用不動産ローンなどの残高1,121億円(15%増)
- スルガ銀行は、個人・資産管理会社へ101億の新規実行(前同比2倍)
一方、投資用不動産ローンから撤退する金融機関もあり、今後は融資姿勢の2極化も想定される。
所見
不動産ローンの最大リスクは、長期間融資であること。30年などの長期融資をするが、その長い間に不動産価格の下落や、入居率の低下リスクがある。
個人が資産運用のために多額の借入をして投資をするのはお勧めしない、不幸な事例も沢山みてきた。5百万〜1千万くらいで中古戸建・リフォームでの貸家業程度でとどめるべき。