AT1債
株式と債券の中間の性質を持った証券のひとつ。
金融機関が破綻した際の弁済順位が普通債などに比べ低くリスクが高い。
発行体の自己資本比率が一定の水準を下回った場合や監督当局の決定などにより、強制的に元本が削減されたり株式に転換されたりする特性がある。
2017年にはスペインの金融機関バンコ・ポピュラールが発行したAT1債が減損となったケースがあった。
金融危機後に定められた銀行の国際的な資本規制「バーゼル3」では、「中核的自己資本(Tier1)」の比率を一定程度以上に保つように定められた。
AT1債で調達した資金は資本金や利益剰余金などの「普通株等自己資本(CET1)」を補完する形でTier1資本に組み入れられる。
世界のAT1債残高の大半を欧州銀が占めるとされている。米銀は優先株の発行が中心となっている。
一般に、投資家が負うリスクが高い分、上乗せされる金利が高い。
21年までの低金利環境下で、高い利回りを求める投資家が積極的にAT1債を購入した。
日本の個人投資家向けにもAT1債を組み入れた投資信託が販売されている。