大企業で子育て女性が働きやすくなってきた。
実際、我が家では大卒の妻が5人の子供を産み、来年には復職予定である。
子育てをする女性が働きやすい世の中を作ることで、日本の少子化も少しはマシになる。
高学歴女性の子供数が回復
高学歴の女性が産む子どもの数が回復している。
国立社会保障・人口問題研究所の2021年出生動向基本調査によると、妻が大卒以上の夫婦の子どもの数が1.74人と19年ぶりに上昇した。
仕事と育児の両立が困難だった高学歴の女性も、近年は働き方改革などにより産みやすくなっている。
一方、非正規職などに就く女性の出生数が低下する懸念も出てきた。
同調査では、女性が最終的に何人の子を生んだかを把握するため、出産できる期間をほぼ終えた45~49歳の妻の子どもの数を調べている。
妻の最終学歴別に見ると、21年調査では大卒以上の女性の子どもの数が前回調査(15年)の1.66人から1.74人に上昇。
同研究所は「育児と仕事の両立支援により、働いていても子どもを産む女性が増えたことが影響している可能性がある」と分析する。
ほかの研究でも同様の傾向がある。
同研究所の岩沢美帆氏らは18年の論文で、夫婦1組あたりの出生率を分析。
00年以降、特に10年以降で「30代で結婚した都市部、大卒、リベラルな女性」の出生率の上昇が顕著にみられた。
リベラルとは「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきだ」という性別役割分業に反対の思想を持つ人、としている。
企業では伊藤忠商事が4月、女性社員の出生率を発表した。10年度に0.94だった出生率が21年度に1.97になったという。
国の合計特殊出生率1.33を大きく上回る。
同社の社外取締役を務める村木厚子・元厚生労働事務次官は「(午後8時以降の残業を原則禁止とし、残務がある場合は翌朝を推奨する)朝型勤務などの効果が出た。収入があり、良い働き方ができれば産めるということだ」と話す。
働き方改革や新型コロナウイルス下のテレワーク導入で、育児と仕事の両立はしやすくなっている。ただ、すべての女性がその恩恵を受けているわけではない。
中高卒女性の子どもの数、減少続く
出生動向基本調査では、大卒以上の女性が産む子どもの数が回復したのに対し、中高卒女性が産む子どもの数は減少を続けている。
同研究所の岩沢氏は「経済的な理由などから中低所得者層が産みにくくなってきている。いずれ大卒と中卒・高卒の女性が産む子どもの数が逆転する可能性もある」と指摘する。
米国でも00年以降、高学歴の女性のほうが中程度の学歴の女性より出生率が高くなったとの研究がある。
経済的に余裕があり家事・育児の代行サービスを利用していることが背景にあるという。
お茶の水女子大学の永瀬伸子教授が21年に25~44歳の独身男女を対象にしたインターネット調査では、非正規の仕事に就いている人のほうが正社員より子どもを持つ意欲が低かった。
永瀬教授は出生率向上のためには「子どもがいる低収入世帯については母子世帯に限定せず、収入面を補う政策が必要」と指摘する。
日本では、この春からパート社員でも育児休暇がとりやすくなったばかり。
政府の全世代型社会保障構築会議(清家篤座長)でも、非正規労働者らを念頭に「両立支援策を誰もが利用できる環境整備」が望ましいとしており、具体策を模索している。