日本以外の先進国はどんどん利上げをする。
日本は利上げができない。最も通貨価値が低い先進国になってしまうのではないか。
米ドル名目実効為替レートが過去最高
外国為替市場でドル高が進んでいる。
ドルの総合的な強さを表す名目実効為替レートは過去最高を更新した。
米連邦準備理事会(FRB)がインフレ退治を最優先し、歴史的なペースで政策金利の引き上げを進めているためだ。
ドル高の裏側では円安など各国・地域の通貨安が加速し、経済の不安要因になっている。
名目実効為替レートは幅広い貿易相手国・地域と比較した通貨の総合的な強さを表す。
国際決済銀行(BIS)によると、ドルの名目実効為替レートは足元で132.56となり、2021年末比で9%上昇した。
新型コロナウイルスの感染拡大で世界経済が混乱し、基軸通貨のドルへの需要が高まった20年3月の過去最高(132.55)を上回った。
FRBのハイペース利上げ
背景にあるのは、FRBが進めるハイペースの利上げだ。
FRBはフェデラルファンド(FF)金利を政策金利としており、3月から計4回引き上げ、利上げ幅は2%を超える。
今月も通常(0.25%)の3倍となる0.75%の利上げに踏み切るとの見方が有力だ。
約40年ぶりのペースで利上げを進めており、ドルに投資家の資金が集まる。
歴史的なドル高はほかの国や地域での通貨安を生み、インフレ率の上昇など経済に与える痛みが大きくなってきている。
英ポンドは7日、一時1ポンド=1.140ドル台と、対ドルで1985年以来37年ぶりの安値水準をつけた。
20年3月の安値を下回った。
通貨安で輸入するエネルギーなどの価格が急上昇しており、物価上昇率は10%を超える。
インフレ圧力が景気を下押しするとの懸念が強まり、ドル高と相まって一段のポンド安につながっている。
輸入する天然ガス価格などの高騰に苦しむ欧州でも、ユーロが対ドルで20年ぶりの安値圏で推移する。
欧州中央銀行(ECB)は大幅な利上げを進めるが、「弱い経済をさらに弱めかねない利上げは通貨高につながらない」(大和証券の多田出健太氏)との見方がある。ドル高・ユーロ安に歯止めがかかるかは不透明だ。
ドル高の波はアジアにも及ぶ
円は7日に、1ドル=144円台と対ドルで24年ぶりの安値を付けた。
中国の人民元は約2年ぶりの安値圏となり、韓国やタイなどほかのアジア通貨も軒並み下落している。
市場では、資源価格の高止まりが通貨安と組み合わさって貿易収支が悪化し、それが「さらなる通貨安を招く」(第一生命経済研究所の西浜徹氏)という悪循環への懸念が高まっている。