学習塾への家計支出が増えている。文部科学省が21日にまとめた2021年度の「子供の学習費調査」によると、公立小学生の年間の塾代は平均8万円を超え、前回調査の18年度の1.5倍だった。
新型コロナウイルスの影響で休校が相次ぐ中、遠隔による学習支援が比較的手厚い私立学校の人気が高まったことが背景にあるとみられる。
調査は子どもの学習に関する家計支出を調べるため、1994年度から2年ごとに実施している。
今回はコロナの影響で3年ぶりの調査で、幼稚園児から高校生までの児童生徒がいる保護者約2万7千人が答えた。
小中学生の学習塾への年平均支出は公立・私立いずれも過去最高だった。
公立小の児童は8万1158円で、18年度比52%増、公立中の生徒は25万196円で、同23%増だった。
私立小は27万3629円で同8%増、私立中は17万5435円で同14%増だった。
学習塾代を支出している家庭の割合は小学校では公立38.9%(同0.2ポイント減)、私立73.0%(同2.1ポイント減)で大きく変わっていない。
文科省担当者は「児童生徒1人当たりの学習塾費が増えている」と指摘する。
背景について塾業界に詳しい森上教育研究所の森上展安所長は「私立学校の人気の高まりが大きい」と指摘する。
コロナの感染拡大で20年度には一斉休校があり、21年度も休校が相次いだ。
森上所長は「遠隔授業などICT(情報通信技術)の活用が盛んな私立への進学をめざし、学習塾を重視する家庭が増えた」とみる。
中学受験を選ぶ家庭は増加傾向だ。学習塾「栄光ゼミナール」の推計によると、22年度の1都3県の国立・私立中と公立中高一貫校の受験者数は約6万7500人と12年度比で4千人増えた。
塾代の支出は私立学校数が多い都市部で特に高い。
幼稚園から高校までの15年間を全て私立に通った場合の学習費の総額は1838万円で、全て公立の場合(574万円)の3.2倍。
私立幼稚園の学習費は18年度比4割減の30万9千円で過去最低だった。
政府が19年に始めた幼児教育・保育の無償化が反映された。