家計の1102兆円もの現預金が半分でも投資に回れば日本も投資大国になれるのに。
国内投資へ回れれば、日本でも世界的なイノベーションが起きるはず。
このお金を動かすのが政府の仕事。
家計金融資産は2007兆円、半数預金
日銀が20日発表した2022年4~6月期の資金循環統計(速報)によると、6月末時点の家計の金融資産は前年同期比1.3%増の2007兆円だった。
内訳では現預金が5割台半ばと最も割合が高かった。米国では高インフレで預金から他の金融商品にマネーを移す動きがある。
日本も株式投資や外貨定期預金を始める人が増えているが、多くは円預金や現金として滞留している。
家計の金融資産の内訳をみると、最も割合の高い現金・預金が全体の54.9%を占めており、夏の賞与増加なども背景に残高は1102兆円と過去最高を更新した。
2番目に割合が高い保険・年金・定型保証も538兆円と過去最高を更新。昨年と比べて大幅な円安・ドル高水準にあった影響で外貨建て保険が押し上げに寄与した。
日本は現金・預金割合が高い
日本の家計の金融資産は米欧と比べて現預金の割合が高い。
米国とユーロ圏の家計(非営利団体含む)の3月末時点における現金・預金割合はそれぞれ13.7%、34.5%となっている。
米国は株式が39.8%と最も大きな割合を占める。
長引く物価高と米連邦準備理事会(FRB)の利上げを受け、足元では預金からマネーを移す動きも出ている。
米連邦預金保険公社(FDIC)によると、6月末時点の預金総額は19兆5630億ドル(約2803兆円)と3月末から3700億ドル減り、四半期ベースで過去最大の減少幅となった。
米国債やMMF(マネー・マーケット・ファンド)など金利上昇ペースが大きい金融商品にマネーが移っている。
日本もインフレへ。31年ぶり水準
日本も米欧と比べると低水準であるものの、物価が上昇してきている。
総務省が20日発表した8月の生鮮食品を除く消費者物価指数は前年同月比2.8%上昇した。
消費増税の影響を除くと1991年9月(2.8%)以来およそ31年ぶりの上昇率で、5カ月連続で2%台となっている。
日銀は足元の物価上昇は原材料コストの上昇を主因としているため一時的とみている。
物価上昇が長引いたとしても、SMBC日興証券の丸山義正チーフマーケットエコノミストは「日本人は節約志向が強いので、物価が上がりそうだから早めにお金を使うという考えにはなりづらい」と指摘する。
徐々に変化する預け先
変化の芽もある。
家計の金融資産の内訳では株価下落の影響から株式の残高は前年同期比3.3%減、投資信託は0.2%減となったが、株価の変動などを取り除いた取引額要因でみると株式は3四半期連続、投資信託は8四半期連続で前年同期比増加が続いている。
現預金の中には投資の側面が強いものも含まれている。
外貨預金の6月末時点の残高は6兆7097億円と3月末(7兆376億円)から減少した。
円安・ドル高の進行で利益確定に動く個人も多く、外貨預金残高は21年春以降から減少傾向にある。
一方で、海外での利上げを背景に外貨建ての定期預金を開設する動きは活発だ。
8月時点における新生銀行の外貨定期預金残高は半年間で6割超増えた。
ソニー銀行でも1カ月間の新たな預入額が半年前から8割増え、外貨建て資産を持つ動きも出ている。