英国の与党・保守党は6日夜にジョンソン党首(首相)の信任投票を行うことを決めた。
行動規制中のパーティーに批判が
同党で投票を求める下院議員数が、投票実施に必要な全体の15%(54人)に達した。
新型コロナウイルス対策の行動規制中に首相官邸でパーティーを開いた問題を受けたジョンソン氏の求心力の低下が浮き彫りになった。
投票は英時間の6日午後6時(日本時間7日午前2時)以降に行われる。
過半数には届かない見方が強い
不信任票が多数となると首相も退陣となるが、英政界では過半数(180人)までは届かないとの見方が強い。
トラス外相ら閣僚の多くはすでにジョンソン氏支持を表明している。党のルールでは信任投票を一度実施すると、原則1年は再実施できなくなる。
ジョンソン首相は、投票について「政府が(パーティー問題などに)区切りを付けて、前に進むことを可能にする機会だ」と歓迎する意向を示した。英首相官邸が6日明らかにした。
下院議員の15%が党首交代を求めると発動
保守党の規約では下院議員の15%が党首交代を求める書簡を提出すると信任投票が実施される。
書簡が集まった最大の要因は、コロナ対策で国民に他世帯との交流規制を呼びかけていた最中に、ジョンソン氏らが官邸などでパーティーを開いていた問題だ。
4月には20年6月に官邸内で開かれたジョンソン氏の誕生会に本人も出席した件で、現役首相として初めて違法行為の罰金を科された。
5月下旬の内部調査では、パーティーや会合が官邸などで20~21年の間に16回に及んだことを公表。一部は首相も参加しており、報告書は「中枢の指導者は責任を負わなければならない」と指摘していた。
国民の不満が高まり、統一地方選で保守党敗北
このパーティー問題や足元の物価高への国民の不満が高まり、5月上旬の統一地方選でも保守党は敗北した。
信任投票を求めた議員の顔ぶれは一部しか明らかになっていない。次期総選挙で野党に敗れる可能性が高まっている若手や中堅議員など、選挙基盤の弱い議員が中心とみられる。
英国は6月2~5日はエリザベス女王の在位70周年を祝う記念行事が行われる休日で政治の動きはほぼ止まっていた。
その式典の一つに出席するジョンソン夫妻に、集まった式典の聴衆からブーイングが起こる場面もあった。