財務省が2023年度予算案をもとに歳出や歳入の見通しを推計する「後年度影響試算」が17日分かった。
国債の元利払いに充てる国債費は26年度に29.8兆円と、23年度予算案から4.5兆円ほど膨らむ。
足元の長期金利を加味し利払い費の見積もりに使う10年債の想定金利を1.6%と前回試算から引き上げた。
国債費は歳出総額の4分の1超まで拡大し政策経費の歳出余地は一層圧迫される。
後年度試算は予算案の国会での審議入りに合わせて例年1月に公表する。
想定金利は23年度予算案は1.1%にしていた。
市場の将来予測を考慮し24年度を1.3%、25年度1.5%、26年度1.6%とした。
24年度以降の名目の経済成長率は高めの3.0%、消費者物価上昇率は2.0%と仮定した。
想定金利は年度途中の金利急騰に備え、予算編成時に実勢よりも1%程度余裕を持たせて設定してきた。
予算に厚みを持たせれば追加の予算計上を避けられる分、国債費はかさむ。
使い切ることなく補正予算の財源などに回ることも多い。
22年1月に公表した前回試算では、23~25年度の長期金利を1.2~1.3%においていた。
24年度以降の金利が想定から変化した場合の国債費の増減額もはじきだした。
全ての年限の国債金利が想定よりも1%上振れした場合、26年度の国債費は33.4兆円となり、元の想定に比べて3.6兆円増える。
2%上昇した場合は7.2兆円の増加となるとした。
23年度予算案の防衛費(約6.8兆円)を上回る規模が借金の元本返済や金利負担に費やされることになる。
今回の試算の仮定に基づくと、26年度の一般会計の歳出総額は115.6兆円と23年度予算案から1.2兆円ほど増える。
国債費は29.8兆円で一般会計の歳出総額の25%超を占め、23年度予算案の22%から拡大する。
利払い費は11.5兆円で23年度比で3兆円ほど膨らむ。
税収は77.4兆円と23年度比で1割超伸び、過去最高となる。
それでも高齢化による社会保障費の増加などで政策経費を税収などでは賄いきれず、一般会計のプライマリーバランス(基礎的財政収支、PB)は26年度時点でも2.9兆円の赤字となる。
24年度以降の成長率を1.5%、消費者物価上昇率を1.0%に置いた試算では、26年度のPBは5.3兆円の赤字に拡大するとした。