裁判所で顔を合わせる必要が無くなる。
政府が率先して諸々の手続きをデジタル化に変えられれば、民間も変わっていく。もっとやってほしい。
家事調停をデジタル化へ
政府は離婚や遺産相続に関する裁判所の家事調停手続きをデジタル化する方針だ。
調停の申し立てから裁判官らによる聞き取り、記録の閲覧までインターネットやオンライン会議で運用できるようにする。
2023年通常国会で関連法案の提出をめざす。
法相の諮問機関である法制審議会が近く家事事件手続法の改正を促す試案をまとめる。
家事調停は当人同士で解決できない家庭内の争いごとを裁判所が間に入って調停する制度。
離婚の成立や養育費、慰謝料の扱いなどが話し合われる。
裁判離婚を既にデジタル化、調停離婚も可能に
離婚を巡っては①夫婦の話し合いによる協議離婚②家事調停による調停離婚③訴訟による裁判離婚――の方法がある。
訴訟での離婚は5月に成立した民事訴訟法などの改正法で口頭弁論などのデジタル化が決まった。
この際、調停離婚の成立時に必要な当事者双方からの意思確認はオンライン会議でも可能になった。
次の法改正では現行制度で認められていない調停の申し立てや調停に向けた協議を電子化する。
申し立ては現在、書類を裁判所に持参するか郵送しなければならない。
法制審はインターネットを通じた申し立ても可能にする法改正を求める。
弁護士などの代理人にはインターネット提出を義務化する案を盛り込む。
調停に向けた協議についてはオンライン会議で開催できることを明記する法改正を提唱する。
現行法は当事者が遠隔地に住む場合などに限って電話会議などを認めてきた。
この要件を撤廃しオンライン会議を幅広く活用できるようにする。
離婚調停は夫婦が裁判所を訪れ裁判官や民間人の調停委員にそれぞれの主張を述べるのが一般的だ。
別々に聴取するものの、裁判所内で顔を合わせる可能性がある。
ドメスティックバイオレンス(DV)などが絡む際の心理的負担が指摘されてきた。
夫婦のどちらかが単身で子育てしながら仕事をしているケースでは裁判所を訪問する時間をとりにくい問題もある。
ネット上で手続きが完結できるようになれば家事調停制度を使いやすくなる。
東京家庭裁判所などはすでにオンライン会議での聴取を試験的に始めている。
申立書や調停に関する合意書などの記録をインターネットで閲覧できるようにすることも盛る。
現行法では裁判所を訪れなければ書類を確認できない。
債務不履行の際に財産などを差し押さえる民事執行や倒産に関する手続きも同様にデジタル化することを試案に入れる。