東芝の再編を巡り、三井住友銀行やみずほ銀行が日本産業パートナーズ(JIP)の買収提案に対して総額1兆2000億円規模の融資をする方針であることが15日わかった。
JIP案には国内企業が1兆円規模の出資をすることを決めており、融資の大枠にめどがたったことで非公開化へ前進する。
今後は東芝の大株主などがJIP案を受け入れるかが焦点となる。
JIPは11月、東芝に正式な買収提案を出していた。
出資や融資を合わせて買収価格を最大で2兆2000億円と想定している。
オリックスやローム、中部電力など20社程度にのぼる民間企業の資本参加が固まりつつあるなか、銀行団が足並みをそろえて巨額の融資を確約できるか注目されていた。
主力行である三井住友銀行とみずほ銀行が各4500億円を融資し、三井住友信託銀行と三菱UFJ銀行、あおぞら銀行が続く。総額は1兆2000億円規模となる。
決められた範囲で運転資金として引き出せる2000億円程度のコミットメントライン(融資枠)も設ける方向だ。
金利水準や具体的な融資額をめぐって各行が検討を続けており、主力行が与信額を積み増す可能性も残る。
調整を終えれば融資の意思を明らかにするコミットメントレターを出す見通し。
主要行は枠組みを固めてから、地方銀行や政府系金融機関に債権の一部を譲る。
銀行団は非公開化した後の東芝の経営計画を見極める必要があるとし、慎重に検討を続けてきた。
融資の実行にあたり、一部の事業を売却することを条件にするようだ。
JIPは11月上旬、東芝に対して正式な買収提案を出した。
日本企業による出資や邦銀の融資で買収資金の大半を賄う提案で、改正外為法などの規制対応が進めやすい一方、資金調達が課題とされていた。
東芝は現在、社外取締役でつくる特別委員会で提案の詳細を吟味しており、最終的には取締役会で判断する。
社外取締役には物言う株主(アクティビスト)も入っており、価格などJIP案を受け入れるかが焦点となる。
東芝は4月に株式非公開化を含む再編案の公募を始めた。
JIPは官民ファンドの産業革新投資機構(JIC)との連合で7月、2次入札に進んでいた。
JICとはその後連合を解消して個別で応札し、10月に優先交渉権を得ていた。