Twitterで『荒らし』急増、マスク氏を試す
米ツイッターのSNS(交流サイト)上で嫌がらせや差別的な投稿をする「荒らし」と呼ばれる行為が急増している。
不適切な投稿の削除を極力なくすと表明していた米起業家イーロン・マスク氏による買収が27日に完了したことで、どこまで過激な表現が許されるようになったのかを試す動きが広がっているとみられる。
SNSの投稿分析などを手がける米団体「NCRI」によると、マスク氏による取引完了直後の12時間でツイッター上では黒人に対する差別用語の使用がそれまでの6倍近くに急増した。
同団体は「悪意ある人物らが(削除対象となる基準の)限界を試そうとしていることを示す証拠だ」と指摘している。
ツイッターでコンテンツモデレーション(不適切な投稿の監視・削除)などを担当するヨエル・ロス氏の投稿によると、29日夜までの2日間で約300のアカウントから特定の中傷表現を繰り返し使った5万件超のツイートが発信された。
憎悪をあおる投稿を拡散する行為は、組織的な動きになっているという。
米ゼネラル・モーターズ(GM)は28日、マスク氏による買収後のツイッターの新たな方向性を評価するため、同社のSNSへの広告出稿を一時停止したと明らかにした。
ツイッターが差別的な投稿のまん延を許せば、広告媒体としての価値が低下するおそれもある。
マスク氏、苛立つ
収益源である広告事業に打撃を与えかねない事態に、マスク氏もいらだちを隠せない様子だ。
28日夕には「すごく明確に言うと、我々はまだツイッターのコンテンツモデレーション規則にいかなる変更も加えていない」とツイートし、興味本位の荒らし行為をやめるよう呼びかけている。
マスク氏はこれまで自らを「言論の自由の絶対主義者」と称する一方、「ツイッターが何を言っても罰せられないような、自由参加の地獄絵図になってはいけない」とも述べていた。
一貫性のない言動が、悪意あるユーザーらの興味をそそっている側面もありそうだ。