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2075年の日本、GDP12位に後退 経済大国から脱落予測

新型コロナウイルス対策による財政悪化や人口増加の減速などを受け、長期経済予測に関する議論が活発になっている。

日米など先進国の成長が鈍化する一方、インドなど新興国では比較的高い成長が続き、経済大国の序列が大きく変わる見通しになっている。

日本については、2075年に国内総生産(GDP)で12位まで後退し、事実上、経済大国から脱落する将来像も予想され始めた。

インドなど新興国の躍進が顕著に

経済大国の序列をめぐっては、新興国の時代が迫ってきた。

今後10年について、米金融大手、JPモルガンのリポート「長期ストラテジスト:長期的な経済成長予測」(対象は主要50カ国)は、年平均成長率は先進国の1.6%に対し、新興国は4.2%と高く、32年に世界経済に占める先進国の割合は50%まで下がると予測している。

また、米投資銀行、ゴールドマン・サックスのリポート「2075年への道 世界の成長鈍化も収れんは続く」(The Path to 2075 — Slower Global Growth, But Convergence Remains Intact)によると、75年のGDP(2021年実質ドルベースの経済価値)世界一は中国(57兆ドル、20年は15.5兆ドル)で、インド(52.5兆ドル、同2.8兆ドル)、米国(51.5兆ドル、同21.8兆ドル)が続く。

インドは30年までに日本を抜き、75年までに米国を抜くなど躍進が著しい。

その一方で、日本は現在の3位から、30年に4位、40年に5位、50年に6位とじり貧となり、その後、急低下し75年に12位まで後退すると予測している。

アジア・アフリカが人口増けん引

先行きの経済を左右する要因とされているのが人口の推移だ。

国連が7月に発表した報告書「世界の人口予測2022」(World Population Prospects 2022)は「23年にインドの人口が中国を抜き世界一になる。

50年までの世界人口増加の半分以上はコンゴ民主共和国、エジプト、エチオピア、インドなどアフリカ、アジアの8カ国に集中する。

世界人口は、ペースは落ちるものの伸びが続き、80年代に104億人でピークをつけ、その水準が2100年まで続く」と予測している。

経済成長との関係では「サハラ以南のアフリカ、アジアの一部、中南米などでは近年、出生率の低下により(就労者が多く労働投入量の増加につながりやすい)労働年齢人口(25~64歳)の割合が上昇している。この年齢分布の変化は『人口ボーナス(労働年齢人口の相対的な増加が続く間に、経済成長が加速しやすくなる状態)』として知られる経済成長加速の機会を提供する」と説明している。

債務急増、経済成長に悪影響

人口と並んで経済成長への影響が注目されているのが公的債務の状況だ。

国際通貨基金(IMF)の財政モニター(Fiscal Monitor)によると、先進国の公的債務総額のGDPに対する比率は21年で117.9%と、新型コロナが広がった20年の123.2%より下がったものの、コロナ前の19年の103.9%より大幅に高い。

IMFのリポート「債務膨張後の経済成長」(Economic Growth After Debt Surges)で、筆者のジョアン・トヴァール・ジャレス氏らは「公的債務の急増は、将来の経済成長に対して最もネガティブな影響を与える傾向がある。

それは経済がすでに大きな需給ギャップを抱えている場合に、特に顕著だ。

公的債務は民間消費と公共消費の両方に悪影響を及ぼす」と指摘している。 

米国、コロナ対策のツケ重く

国別にみると、米国は新型コロナ対策などで財政が悪化し、将来への不安が高まっている。

米国の公的債務のGDPに対する比率は21年には128%だったが、米議会予算局(CBO)の長期見通しは「財政赤字の拡大と金利の上昇で、連邦政府の債務残高は増え続け、52年までに公的債務はGDPの185%にまで拡大する」と予測している。

米シンクタンク、アメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)のニコラス・エバーシュタット氏は、「米国の再活性化:社会経済改革の算術」(Revitalizing America: The Arithmetic of Social and Economic Reform)で「政府が経済的および財政的崩壊を食い止めるという名目で実施した前例のない緊急パンデミック(世界的大流行)対策は、長期的な成長の制約となり、繁栄を危うくする大規模な意図しない結果を伴った」と分析している。

そのうえで「米国は予想外に弱い回復の危険にさらされており、われわれは日本化に近づいていることに気付くかもしれない。米国の未来の約束を取り戻そうとするなら、停滞と依存の未来から脱出する方法を今すぐ考える必要がある」と訴えている。

中国は成長維持も人口減が重荷

中国は以前の年率2桁といった高成長は望めないものの、ハイテク技術などで競争力を高めており、先進国よりは高めの成長を続けられるとみられている。

米ハーバード大学ベルファー科学国際問題センターの論文「経済的な重みは力。中国は急成長している」(Economic Weight Is Power. China Is Gaining Fast)で、筆者のグレアム・アリソン氏は「米国経済の成長率は年間2%未満であると予想される一方、主要な経済予測者は中国が30年まで平均4.5%から5%の成長を遂げると予想している。21世紀の経済的優位性をめぐる競争が始まっている」と指摘している。

ただ、かつての一人っ子政策の影響で、人口が減り始めている。

ダボス会議を主催する世界経済フォーラム(WEF)が発表した文章「中国の人口は60年前の大飢饉(ききん)以来初めて減少しつつある」(China’s population is about to shrink for the first time since the great famine struck 60 years ago)で、筆者の豪ビクトリア大学のシュージャン・ポン氏は「中国の人口の急速な減少は、経済に深刻な影響を与えるだろう。労働年齢人口は14 年にピークに達し、2100年までにそのピークの3分の1以下に縮小すると予測される。高齢者人口(65歳以上)は、2080年近くには労働年齢人口を追い越す」と指摘する。

そのうえで「『中国の世紀になる』という予測にもかかわらず、中国の人口予測は影響力がインドなど他の場所に移る可能性があることを示唆している」としている。

この点に関連して中国のシンクタンク、中国社会科学院人口労働経済研究所の王広州氏らは、論文「中国の人口機会の窓(生産年齢人口に対し、それ以外の従属人口が相対的に小さい状態)と人口ボーナスの変化過程に関する研究」で「1980年代後半に中国の人口ボーナスが発生し、2050年ごろに消滅する。消滅の根本的な理由は、人口の年齢構造の継続的な変化にあり、将来的には、人口の長期的なバランスのとれた発展を達成することに焦点を当てるべきだ。適切な出生率を維持し、安定した人口と経済発展を促すための道を模索する必要がある」と強調している。

インド躍進も若者の雇用機会創出など課題

インドは人口増加に加えて、IT(情報技術)主導による生産性の向上が経済成長をけん引するとみられている。

インドの政府系ビジネススクール、インド貿易学院(IIFT)のネハ・ジェイン氏は、論文「2001年から2061年までのインドの潜在的な人口ボーナス」(Potential demographic dividend for India, 2001 to 2061)で「11年から41年までの期間、インドの効果的な人口動態の機会が利用可能であり、有利な人口動態の変化と適切な社会経済政策シナリオの組み合わせで、約30年の人口ボーナスが与えられる。高齢化の負担が始まる前に、人口ボーナスを最大限に享受できる期間になる」と分析している。

インドはITの競争力など優れた面もあるが、経済格差など問題点も少なくない。

インド工科大学デリー校のジャヤン・ホセ・トーマス氏は、論文「インドは人口の優位性をつかめるか」(Can India seize the demographic advantage?)で「インドは2020~40年の世界の生産年齢人口増加の20%を占める。多くの潜在的な労働者が経済成長に大きな恩恵をもたらすが、政策立案者にとっては、増え続ける若者に適切な新しい雇用機会を創出するという課題もある。健康、教育、その他の社会部門への政府支出の増加は、インドの若年層からの潜在的な利益を実現するために不可欠だ」と注文をつけている。

成長しない日本、75年は中国の7分の1に

日本は高齢化の進展に加え、GDP比率で世界最高水準の公的債務を抱え、人口、公的債務の両面から成長が制約されやすい状況になっている。

20年に新型コロナ対策によって世界的に政府債務のGDP比率が高まったため、先進国の多くは財政健全化に取り組み21年にその比率を下げたのに対し、最も債務GDP比率が高い日本は財政拡大を続け、IMFによれば21、22年と比率は悪化し続けている。

前述のJPモルガンのリポートでは、日本の今後10年の平均成長率は主要50カ国中最低の0.8%で、筆者のアレクサンダー・ワイズ氏らは「日本は1990年以降、ほとんどの成長ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)が弱体化している。先を見据えても、経済成長を維持するためのファンダメンタルズはあるものの、その原動力は明らかに悪化している」と言及している。

一方、前述のゴールドマンのリポートは、日本は75年まで平均成長率は0%台のままで、GDPでインドに続き、インドネシア、ナイジェリア、パキスタン、エジプト、ブラジル、ドイツ、英国、メキシコにも抜かれ12位に後退すると予測している。

また、75年のGDPについては7.5兆ドルと予測している。この予測通りであれば、経済規模は中国、インド、米国の7分の1程度になり、もはや経済大国とはいえない状況に陥る。

ゴールドマンは2003年のリポート「BRICsの夢:2050年への道」で、日本はGDPで50年に世界4位に後退すると予想していた。

日本は、日銀の巨額国債買い入れ(量的金融緩和)に支えられた財政拡大策などを進めてきたが、低成長から抜け出せないまま、債務GDP比率が一段と高まり、経済大国としての序列の後退見通しが早まる結果になっている。

長期停滞予測は、日本の経済政策に対する見直し圧力になり得る。

例えば、政府は少額投資非課税制度(NISA)拡充などで投資を促そうとしているが、日本の長期停滞予測がその通りになれば、高い投資リターンは期待しにくく、政策の妥当性が問われることになる。

目先の規模優先の景気対策は、足元のGDPを多少押し上げる短期的な効果があっても、中長期的には累増する債務負担が成長を妨げるといわれており、その再検討も迫られている。

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メガバンク太郎
とあるメガバンクで働く16年目の中堅行員です。30年目(51歳)では別会社に出向(給料激減)する運命の業界、それまでにFIRE※出来ないか真剣に考えるようになりました。 妻、子供5人の大家族で生活費もかさむ中、少しでも収入を増やすための「自己成長」、無駄遣いをしない「倹約」、お金を増やす「資産運用」の3つの軸で自らを律する為にブログを始めます。 ご覧になった方へ少しでも有益な情報にするためにも、精一杯がんばります。 ※Financial Independence, Retire Early=「経済的自立と早期リタイア」
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