政府の統計によると、軽自動車の平均価格が10年ど5割上昇した。2011年に108万円だった軽の平均価格は2021年には157万円に上昇(45.3%増)、普通自動車は同期間19.8%の増加となり、軽の割安感は薄まっている。主な要因は2点。
- 軽にも高機能の安全装備が付加されるようになった。
- シェア7割の「ダイハツ」「スズキ」の2強メーカーが採算重視に転じた。
①高齢ドライバーが増え、安全機能の高さに需要が出ている、前方の車両・歩行者の感知などの機能でカメラやセンサー、処理するコンピューターがコスト増となっている。
②軽の2大メーカーのダイハツ、スズキのシェア競争「SD戦争」が2010年代半ばに一服し、かつて「低燃費、低価格」を軸に激しい販売競争を繰り広げていたが、「燃費や価格からメーカーの収益性向上にもつながる居住性や安全機能などに競争軸が移った」。
厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、一般労働者の2020年の平均月収は30万7700円と2011年比でプラス3.7%の上昇、2011年は月収の3.6ヶ月だった軽の平均価格は、2020年には5ヶ月分にまで上昇、自動車市場の4割を占める「軽」=「庶民の足」が家計に与える負担は増している。
さらに、2035年に軽を含む全ての新車を電動化する政府目標があり、電池やモーターコスト、開発コストが加わりさらに価格上昇する見通し。一般に軽をEV化するとバッテリー、インバーターなどで100万円以上のコスト増とされる。
所見
軽自動車も割安ではない、高齢者も増える中、事故を減らす為には安全機能は絶対条件である。さらにESGの観点からEV化も必須、車の自己所有が「軽」であっても贅沢品となる。