仕組み債は、見た目の利率が良く、リスクも低く感じるように説明ができてしまう。
さらに、まとまった金額で成約ができ、販売サイドの収益率もるため、各社は販売に力を入れてきた。
世の中の金融リテラシーが底上げされており、仕組み債のニーズも無いのかもしれない。
『仕組み債』の新規勧誘停止の動き
利回りは高いがリスクの大きい金融商品「仕組み債」について、大手金融機関が顧客への新規勧誘の停止に動き始めた。
三井住友銀行と千葉銀行が販売を全面的に停止した。
みずほフィナンシャルグループ(FG)、横浜銀行、広島銀行は販売を一部停止する方針だ。
デリバティブ(金融派生商品)と知らずに購入した顧客とトラブルになるケースも多く、販売体制を見直す。
各社とも、退職金運用の高齢者や投資初心者など、デリバティブ投資に必要な十分な金融知識のない顧客への新規勧誘などを取りやめる。
仕組み債は元々はプロ向け
仕組み債は利回りが高いデリバティブの一種でオプション取引やスワップ取引を組み込んでおり、大きな相場変動があった場合などに損失が膨らみやすい。
もともとプロ向けに開発された商品だったが、最近では退職金の運用を検討する高齢者や証券口座を開設したばかりの個人なども購入している。
ロシアによるウクライナ侵攻や米欧の利上げで金融環境が不安定になるなか、仕組み債のリスクが改めて問題視されていた。
千葉銀行は傘下のちばぎん証券がすでに販売を取りやめた。
横浜銀行は販売を一部停止する方向で、傘下の浜銀TT証券、提携先の東海東京フィナンシャル・ホールディングスと協議を進める。
大手ではみずほ証券が14日までに、新規の勧誘を一部停止する方針を固めた。
SMBC日興証券は8月から個人向けの積極的な勧誘を控えている。
「複雑な商品性や相場下落時の顧客の資産に与える影響などを重視した」(同社)という。
同じ三井住友FG傘下の三井住友銀行は7月から勧誘・販売を全面停止した。
これまでも勧誘ルールは厳格化したが
これまでも証券各社ではコストの説明などを盛り込んだ重要情報シートの交付や顧客属性に応じた勧誘ルールの厳格化などを進めてきた。
大和証券は現在、預かり資産などに応じた勧誘基準と最低販売金額のさらなる見直しを検討中だ。
野村証券や三菱UFJモルガン・スタンレー証券も必要に応じて販売方針を見直すとしている。
自主規制機関の日本証券業協会は年内にも仕組み債の販売ルールを改定する。
販売対象を制限する方向で議論を進めており、各社の動きはこのルール改定を先取りするものといえる。
金融庁が「顧客本位の業務運営原則」を求めており、販売体制に問題がないか再点検を進めていく。