3日の米国株式市場でアップルの時価総額が2兆ドル(約260兆円)の大台を割り込んだ。
QUICK・ファクトセットによるとアップルの終値ベースの時価総額が2兆ドルを下回ったのは2021年3月以来、約1年10カ月ぶり。
投資家の間では米利上げに伴って個人消費が冷え込むとの警戒感が強まっている。
3日のアップル株は前営業日の22年12月30日に比べ約4%安い125ドル07セントで取引を終えた。
終値ベースの時価総額は約1兆9890億ドルとなった。
新型コロナウイルス禍の在宅勤務や遠隔教育の広がりを追い風に世界の上場企業で初めて時価総額が一時3兆ドルを突破した22年1月3日からちょうど1年で約1兆ドルが消失した。
株式市場では世界経済の減速と長引くインフレが高価格帯を強みとするアップル製品の需要に打撃を与えるとの懸念が広がりつつある。
2日にはアップルが複数のサプライヤーにノートパソコン「MacBook」や腕時計型端末「Apple Watch」、ワイヤレスイヤホン「AirPods」などの部品供給を減らすよう指示したことが伝わった。
アップルのスマートフォン「iPhone」の生産を請け負う台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業が中国・河南省に持つ世界最大の生産拠点は22年10月後半以降、新型コロナ感染拡大の影響で稼働率が一時低下した。
従業員らの待遇をめぐる抗議活動も発生し、最大のかき入れ時である年末商戦の製品供給に混乱をもたらした。
アナリストらはアップルの22年10~12月期の売上高が前年同期(約1239億ドル)を下回る1235億ドル前後になると予想している。
アップルの四半期売上高が前年実績を割り込めば、四半期業績を下方修正して世界の株式市場を揺らした「アップル・ショック」直後の19年1~3月期以来となる。
アップルの株価は22年に27%下落して多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数の下落率(19%)を上回ったものの、世界の上場企業の時価総額ランキングにおける首位は維持している。
3日時点でランキングの2位のサウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコの時価総額は約1兆8870億ドル、3位のマイクロソフトは約1兆7850億ドルとなっている。